受験生役を演じる宮川一朗太は、これがデビュー作。
松田優作と対峙した時は、どんな緊張感だったか想像してみる。
なのに作中では、
松田優作演じる家庭教師の話をニヤニヤしながら聴いたり、
頬にキスされて「キモチワルイですよ」と言い返したり、
ビンタしかえしたりと、なかなか度胸のある演技をしている。
やっぱりこの時代は、本当に叩いてるんだよな。
強さは加減してるだろうけど、
空振りなのと、当たってるのとではやっぱり違うんだよな。
家庭教師といっても、突飛な教え方をしてるわけでもなく、
圧で机に向かわせているだけで、ずっと植物図鑑みてるし。
言う事をきかなかったら、鼻血がでるほどのビンタを喰らわせるし。
そんな家庭教師がじわじわとこの家族の問題に侵食していくのが奇妙でオモシロイ。
4人家族なのに、食卓は向き合わずに横一列に並んで食べているところから、
この家族は、ひとりひとりに向き合ってない無関心さがうかがえる。
なのに、当時の日本がそうだったように学歴重視で、
親の関心事は子供の成績だけ。
子供は子供で、友達との関係に問題を抱えていて、
親には相談できず、悶々と過ごしているだけ。
ただ、やられっぱなしでなく、ちゃんとやり返してるところがオモシロい。
あと現在の倫理観では考えられない描写もある。
その一つですごく好きなのが、
学校の教師がテストを返す時、点数の悪い生徒のテストを丸めて校庭に投げ捨て、
生徒たちは楽しそうに校庭に出て自分の答案を拾う。
今では即ニュースになるような行為だけど、
こういう先生、おもしろかったよなと学生時代を思い出した。
「家族ゲーム」は松田優作主演のものしか観ていないが、
何度見ても船に乗って団地にくる姿が印象強い。
あと、工業地帯に向かい合って建てられた団地。
そして広い草むらを走る市バス。
このロケ地はいったいどこなんだろうか。
工場の煙が空を覆い、草が生い茂る空き地が広がり、
橋がなくて船で渡るしかない、そんな東京がちょっと前まではあったのかと思うと、
今の発展はSFの世界のようだなと思う。
車のナンバーをよくみると「品川」とあったので、
あの渡船は品川のどこかを渡航していたのだろうか。
埋立地が増えたから、どこなのかさっぱり見当がつかない。
25年ぐらいでこんなに変わるものか。
なんだか味気ないな。
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1983年日本
監督:森田芳光
出演:松田優作、由紀さおり、宮川一朗太、伊丹十三

