舞台 ハルシオン・デイズ2020 残念ながら期待はずれ | 気むずかしい いろいろ

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わたしが舞台をみて「おもしろい!」って思う理由に、

人間の本音がみえた時がある。

 

多方面に配慮しないといけないTVではもう聞くことができない、

人間の本音が伝わるキワドイセリフや演技をみせられると、

その舞台にリアルさを感じて、魅せられてしまう。

 

そういう意味で、この舞台にリアルさが感じれなかった。

自殺願望のある男女三人、

自殺してしまった高校生。

自粛警察に抗う元感染者、と思ったら元自粛警察だった男。

という、この新型コロナ禍で書き下ろされた鴻上尚史の新作。

 

12月になってしまったので、自粛警察ピークはもう半年前の話。

ネタとして古くなってしまった以前に、

蒸し返されたカンジがあって、正直、うんざり。

自粛警察を、バッシングする風潮ももう終わったし。

いろいろと傷ついたのは分かるが、どうにも表現がダイレクトすぎて引く。

 

この秋公演された舞台は書き下ろし新作が多く、

なにがしかこの新型コロナ禍のメッセージが見え隠れするが、

こうもダイレクトに表現した作品ははじめてみた。

このダイレクトさが私の好みじゃなかった。

恨みがましいと感じてしまうのだ。


 

わたしは柿澤勇人が好きで、チケットを買ったのだが、

彼は大阪公演の直前までTwitterで次の舞台「スルース」の稽古に夢中で、

ちょっと不安だった。

でやはり、あまり役に入ってないカンジに見えた。

好きな俳優の一人なんだけど、ピンポイントでしか彼のもっている

やんちゃな個性が開かないのがもったいない。今回は消化不良。

 

逆に、全力で演じていた石井一孝は、他の役者との温度があわず浮いてたように思う。

 

わたしは2階席でみたのだが、この演出は2階席を置いてけぼりにされたように感じる。

東京の劇場は紀伊国屋ホールで2階席はないから、2階席想定してなかったんだろう。

演者たちの目線が二階席をまったく無視してて、まったく入り込めない。

そのせいかは分からんが、客席で居眠りしている人が多かった。

わたしも、大詰めで居眠りしてしまった一人だ。

 

あまりにも退屈で、大千穐楽のスペシャルカーテンコールを観ずに席を立った。

中止にならず、大千穐楽を迎えられたことは奇跡だが、

奇跡と、仕上がりは別の話なのだ。

 

ただ、楽しんでいた人もいたから、

単に私の好みに合わなかっただけだと思うけどね。


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2020年12月6日

作・演出: 鴻上尚史

出演:柿澤勇人、南沢奈央、須藤蓮、石井一孝

 

二階席に限ったことかもしれないが、40~50代の男性が7割いた。

結婚前、小劇場の芝居を観ていた人たちが、

この新型コロナの旅行自粛で、劇場に戻ってきたんちゃうかと思う。

むかし観た鴻上の舞台を思い出しきたような感じがする。

 

それは演劇界にとって、いい兆候に思う。

でも劇場に、ほんま後期高齢者が減ったわ。

 

二階席は6割程度の埋まり具合。