映画 シド・アンド・ナンシー たった2年間で破滅した共依存の救いようのないカップル | 気むずかしい いろいろ

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シド21歳、ナンシー20歳。

 

N.Y.のチェルシー・ハウスで女の死体が見つかった。

死体の横にはシド・ヴィシャスがナイフをもって呆けている。

 

この映画は、シドがナンシーと出会い、死体で見つかるまでの2年間を描いている。

そのまま信じないとしても、まぁ壮絶なお付き合い。

久しぶりに観たけれど、あまりにも幼稚で、破滅的。
 

高校時代にパンクにハマって、ピストルズをよく聴いてた。

公開当時、高校生だったわたしはちょっと過激な恋愛映画として観てたんだと思う。

お互いに不器用ながら必死に相手を求めている、切ないラブストーリーとして観ていたかもしれない。

20代前半なんて、好きな人がすべてになるのはよく分かる。

 

 

 


 

でも今みると、切ないな。

典型的な共依存カップル。

薬物に、暴力。

周りの大人が差し出せる手はなかったのか。

ナンシーの両親は劇中では、ナンシーの虚言癖と盗難癖に辟易して、見放したとあるが、

心中はどうだったんだろうか。

ナンシーは、統合失調症と診断されたとあるが、今ならもっと適切な精神疾患の診断と治療が受けられただろう。

 

シドの活動時期があまりにも短すぎる。

 

若い女性がひとり死んだ。私は気にしない。あなたもおそらく気にしない。警察も気にしない。新聞も関心を示すことはない。ほとんどのパンクスも気に留めない。悲しむとすれば(私が思うに)彼女の両親と、(ほとんど確信するが)彼女を殺して起訴された少年だけだ。 — レスター・バングス(音楽ジャーナリスト)

 

 

才能が開花したばかりの時に、音楽に惚れたわけでもないアメリカ女が、

シドにつきまとって、シドから音楽を奪ったのなら嫌われても仕方ないか。

薬漬けになったのはお互いの責任としても、なんでこんな女にハマるかな?

ナンシーのどこがよかったんだろうか。

 

ナンシー、ガチぶす!

白塗りしてるから、顔の凹凸がめちゃくちゃ目立つ。ガチャガチャ。

顔ブスに、性格ブスが加わって、観客全員の敵になるように描かれている。

この役を引き受ける人、なかなか見つからんかったやろうな。

個人的にはこの映画に出ているコートニー・ラブの方が似合ってたと思うのだけど。

きっと断られたんだろうな。リアルな世界でも嫌われそうだし。

ホンマにこんなに性格も悪かったんやろうか。

 

わたしのゲイリー・オールドマン イメージは、このシド・ヴィシャスからはじまってるから、

バットマンの刑事部長役が、いつまでたってもシックリこない。


あっちこっちのデートスポットに南京錠かけてあるのは、

シドとナンシーの南京錠が発祥なんかな?

 

史実はとても残念すぎるけど、映画としてはよい作品。
 

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1986年イギリス

監督:アレックス・コックス

出演:ゲイリー・オールドマンクロエ・ウェッブ