2019年12月の中国開催以来、約4年半ぶりで日中韓3カ国首脳会談が開かれました。北朝鮮の非核化と朝鮮半島の安定や、日中韓自由貿易協定(FTA)締結交渉の加速、人的交流の再活性化などが主な議題となりましたが、東アジアでの最大の懸念事項は、覇権拡大を続ける中国による「台湾統一」の野望であり、「台湾有事は日本有事」とされていて、米国は3カ国首脳会談を注視しながら、軍事的警戒を強めています。

 

そんな中、防衛省は米軍が2年に1度、太平洋地域で実施する大規模演習「バリアント・シールド」(6月7~18日)に自衛隊が初めて参加することになりましたが、その意義について、「自衛隊は、本演習への参加を通じて、同盟国及び同志国とともに即応態勢を強化して、我が国の防衛及び地域の平和と安定に寄与していきます」と発表しました。

 

防衛省関係者は「自衛隊の参加は、米国から強く要請されたものだ。演習は日本周辺で発生した有事を想定。日米両軍の連携と即応体制の強化をはかる。念頭にあるのは中国だ。『台湾有事の危機的状況が迫っている』ということだ」と明かしました。

 

実戦を想定した訓練は、自衛隊員約4000人と車両約130両、航空機約60機などが参加。訓練地域は日本国内や周辺海空域、フィリピン、ハワイ、グアムなど。複数の「同志国」も初めて参加し、計1万人以上で「同志国」は日本以外の地域で作戦展開することになっています。

 

自衛隊は、青森県・海上自衛隊八戸航空基地、宮城県・航空自衛隊松島基地、東京都・硫黄島、宮崎県・空自新田原基地、更に鹿児島県・奄美大島の陸上自衛隊の地対艦ミサイル部隊や北海道でも訓練を展開する計画です。そして、中国は台湾有事に関して、日本の自衛隊基地や在日米軍基地も攻撃対象とし、水面下で『台湾統一を認めろ。拒否すれば殲滅する』と脅しているのです。

 

更に、先月20日、中国の呉江浩駐日大使は、日本が台湾独立に加担すれば「日本の民衆が火の中に連れ込まれる」と日本を恫喝し、尖閣諸島の領海に中国海警局船3隻が相次いで領海侵犯して、日本漁船3隻を追いかけ回しました。

 

このような中国の日本に対する恫喝にも関わらず、岸田首相は日中韓3カ国首脳会談では中国の威嚇に対して何の表明もせず、日中韓FTAの締結や人的交流の再活性化などを進めるとしているのです。少なくとも中国海警局船を尖閣周辺海域からの排除要求など、中国の暴走を非難するくらいのことは発言すべきではないかと思うのですが。

 

これでは、日中韓3カ国首脳会談なんて何の意味も無く、現実を見ずに、お互いに顔だけニコニコ。さも、関係改善を進めようなどと言う建前だけの会談。何の意味も無いですね。とは言え、日中韓の今の関係を見れば、成果があることが奇跡かも知れませんが。少なくとも、岸田政権の支持率アップには何の役にも立たないことだけは間違いないですね。