今年6月に解散総選挙が行われた場合、各党の獲得議席数がどうなるのかを、専門家が調査した結果が次の通りです。

   自民党     261 → 184~198

   公明党      32 → 22~30

   立憲民主党    96 → 149~166

   日本維新の会   41 → 47~59

 

自民党は、裏ガネ問題の影響が大きいことや、昨年のLGBT 法案以降意向の保守層の自民党離れで、過半数を割り込む大幅減少となりそうですし、自民党と一線を画しているとはいえ、公明党も議席減が避けられないようです。更に、関西では日本維新の会の勢いに押され、大阪では軒並み落選が予想されています。

 

北側一雄元幹事長は、党の定年の内規で、地盤を参院議員の山本香苗に譲りましたが、現時点では維新、立憲の候補に引き離されて3番手のようです。元幹事長の地盤でもこの有り様なので、他の選挙区は推して知るべしでしょう。

 

和歌山2区では、離党処分となった世耕弘成氏が、二階氏に対して「国盗り」を仕掛けると見られています。総理を目指すと公言している世耕氏は、これまでも衆院への『鞍替え』を画策してきましたが、二階氏が居座っていたためにできませんでした。でも離党したことで堂々と出馬できることになりました。二階氏の後継として有力視されているのは三男の伸康氏ですが、この直接対決は見物ですね。

 

和歌山にキャンパスを構える近畿大学の理事長である世耕は、資金力と動員力が圧倒的ですが、二階氏の息のかかった地元組織をひっくり返すのは容易ではなく、激戦が予想されています。出も、世耕氏にとっては、自民党への復帰のためにも当選が絶対条件でしょうから、負けるわけにはいかない選挙になります。

 

福岡4区は保守分裂になって共倒れの可能性も。地元で覇権を争ってきた麻生太郎と武田良太の代理戦争が勃発しますから。自民党現職で、武田が推す宮内秀樹は小選挙区で4連勝しているので譲る理由はありません。ところが、自民党県議の吉松源昭が出馬を表明しました。麻生氏が武田氏の勢力を削ぐために仕掛けたとされていますこのため、維新の阿部弘樹氏が漁夫の利を得る可能性が高いという見方もあるようです。

 

これらの情勢を総合して、選挙に関して詳しい3名の専門家が予想したのが、始めに掲げた「各党の予想獲得議席数」です。3氏の予測は、与党が大敗して自公が過半数を割り込む数字になっているのです。こうなれば自民党が政権を維持するには、野党を政権に抱き込むしかありません。

 

過半数の233議席を獲得するには、国民民主の10~13議席程度では足りず、約50議席取ると見られる維新との連立が必要になります。しかし、関西で維新に議席を奪われる公明党が維新と連立することはあり得ず、自公連立を破棄して維新との連立という政界再編が起こるかも知れません。でも、自民党が公明党・創価学会票を簡単に手放すとは考えにくく、自民党が公明党との関係をどうするのかが難しいですね。

 

そこで出てくるのが、維新と公明党、両方に太いパイプを持っている菅義偉氏です。予測通り自民党が大きく議席を減らした場合、菅氏が党内で主導権を握ることになる可能性が高いと思われます。もちろん与党過半数割れとなれば、岸田首相は責任をとって辞任せざるを得なくなります、一度は総裁の座から追い落として叩き潰したはずの菅氏に再び屈服することになるのです。政界というのは大変な世界ですね。