衆院3補欠選挙では、東京15区ばかりが注目されているようですが、自民党が唯一候補者を擁立した島根1区は、自民党が3連敗となれば、岸田政権の終わりに繋がるという意味で注目しても良いのではないかと思います。島根県は小選挙区制が適用された平成8年の衆院選以来、自民が議席を独占してきた選挙区ですから、自民党敗北となれば、強烈な痛みになるでしょう。

 

応援に訪れた岸田首相は、自民新人の錦織功政氏の応援演説で、「自民の政治とカネの問題で大きな政治不信を引き起こしてしまっている」と述べて陳謝しましたが、陣営が動員をかけた1千人余りの聴衆からは、拍手があったようですが。東京から応援入りした自民関係者は「熱気に欠ける、静かな選挙だな」と印象を語っていました。

 

また、立候補している錦織氏の親族からも、「『自民党に反省してほしいから自民候補に投票したくない』という友人もいる」といった話が出るほどで、聴衆者から「党員として恥ずかしい気持ちでいっぱい」と痛烈な一言を浴びたそうです。

 

自民の閣僚経験者から「錦織さんが細田さんの後継であること、自民党公認であることがマイナス」との指摘もあるようで、錦織氏陣営には、「首相に来てもらってもプラスにならない」といった話も。

 

報道機関の情勢調査では錦織氏は劣勢で、自民議員も街頭演説で「いかんせん負けている状況」と公言しています。そんな中、小渕優子選対委員長がほぼ張り付き、石破茂元幹事長や小泉進次郎元環境相ら不記載事件のイメージが薄い無派閥議員が応援入りしていますが、小泉氏は、応援演説で「悪いのは今の自民党です。悪いのは錦織さんではない」と訴えました。

 

これに対し、立憲民主党の泉代表は、亀井亜紀子氏の応援に入り、「立憲民主党だけの戦いではない。政治改革全体の戦いなんだ」と述べていますが、立民幹部が自民の不記載事件批判を徹底していることは明確で、「本当は今の自民党政治に嫌気が差しているんじゃないですか。公明党支持の皆さん、自民党を応援してきた皆さん、今こそ一緒に立ち上がりましょうよ」と訴えています。

 

ただ、聴衆の数は首相の半分程度で、島根1区エリアが自民党の強力な地盤であり、投票用紙に「亀井」と書いてもらうのは簡単ではなさそうです。亀井氏の父は、島根県が地盤だった亀井久興元国土庁長官。自民の国会議員だった当時の人間関係をたどり、支持を依頼しているようですが、漂流する保守票を取り込めている実感はないようです。

 

長年の自民党支持の人も『今度ばかりはひどいよね』と言っていても、亀井氏に投票するのかどうかは何とも言えず、投票に行きたくない人が増えているのではないかという見方も。そして、自民を批判しつつも「やはり自民に入れようかな」と話す有権者もおり、理由を聞くと「それが習慣ですから」との答えが返ってきたこともあるそうです。

 

普通に見れば、自民党苦戦のようですが、長年自民党が当選を続けてきたところで、野党が議席を得るということは大変なことのようです。東京15区のように、言葉通りの浮動票というものは少ないのかも知れませんね。でも、日本のためには自民党全敗が良いのではないかと思うのですが。