韓国人の元徴用工らが日本企業に賠償を求める一連の裁判をめぐり、昨日、韓国の最高裁で日本企業に賠償を命じる判決が出されました。いわゆる元徴用工らによる一連の裁判をめぐっては先月も5件で判決が確定していて、これで合わせて9件で日本企業に賠償を求める判決が確定したことになります。

 

また、先月、日立造船への賠償命令が確定した同種訴訟で、原告側弁護士は、同社が判決確定前に裁判所に預けていた供託金の差し押さえを申請したと明らかにしました。供託金が賠償に充てられれば、徴用工訴訟で日本企業の資金が原告側に渡る初の事例となります。

 

韓国政府は去3月、日韓請求権協定で両国間の請求権問題の「完全かつ最終的」な解決に合意していることを認め、一連の裁判で勝訴が確定している原告に対し、政府傘下の財団が賠償金を代わりに支払う解決策を発表しましたが、一部の原告が受け取りを拒否するなど手続きは難航しています。

 

しかし、岸田政権は、この解決策を良しとして、日韓関係の改善にのめり込んでいます。岸田首相は、慰安婦合意を破棄された張本人。今回の判決を含め、日本企業に賠償を求める判決が相次いでいることに説明してほしいものです。しかし、日本政府はいつもの通り、『遺憾砲』だけのようですね。

 

 

台湾総統選が13日に実施されますが、中国が「台湾独立勢力」と見なす与党・民進党の頼清徳副総統が当選する事態に身構えているようです。民進党政権がさらに続けば、習近平の公約とも言える台湾統一が遠のくため、習氏が側近らに厳命しているはずの「頼氏当選阻止」に失敗すれば、力ずくで台湾独立を押さえ込む可能性もあるのではないかと見られているのです。

 

「台湾を中国から切り離しかねない重大な事案が発生した時、非平和的方式とその他の必要な措置を講じ、国家主権と領土保全を守ることができる」。中国の反国家分裂法の第8条は、台湾独立に絡んで武力を行使する条件の一つとして、こう明記しています。

 

しかし、何が「重大な事案」に該当するかの解釈を行うのは習指導部なのです。民進党の長期執政が決まった時点で習氏が「武力行使の条件を満たした」と判断する可能性もあるのです。1996年の直接選挙導入以降、同じ政党が3期連続で政権を担ったことはなく、頼氏が当選した場合、蔡英文政権と合わせ3期12年が確定することになりますから。

 

習近平の台湾統一へのこだわりは歴代指導者の中で突出しており、毛沢東ですらなし得なかった統一を実現することで、毛を超える指導者になろうとしていると見られています。そして、党総書記としての3期目任期中に台湾統一に道筋を付けることに強い意欲を示しており、先月末には、「祖国統一は歴史の必然」と演説しているのですから、民進党が勝利した場合、軍事力の台湾進攻が現実味を帯びてくるとも言えそうです。

 

 

英紙フィナンシャル・タイムズが、バイデン米大統領が台湾総統選直後に元米政府高官らで構成する超党派の代表団を台湾に派遣する計画だと報じました。総統選直後の米政府による代表団派遣は異例で、米政府高官は時期や人選は検討中だと記者団に述べました。

 

当選者が誰であろうと、台湾を支援する姿勢を示す狙いだとみられますが、米中両政府が関係安定化を模索する中、中国政府が反発して裏目に出る可能性もあるかも知れません。代表団は、オバマ民主党政権で国務副長官を務めたスタインバーグ氏と、ブッシュ(子)共和党政権で国家安全保障問題担当の大統領補佐官だったハドリー氏が率いると見られます。

 

米国政府は台湾支援の強化を目に見える形で進めようとしていますが、岸田政権は、能登半島地震への台湾の救援隊を断ったように、台湾に対しては後ろ向きです。その背後には外務省が中国に対して配慮しているためでもありますが、親中政治家の代表ともいえる林芳正氏を外務大臣や官房長官への起用で解るとおり、岸田首相自身も『中国様様』の態度。裏に何があるのでしょうね。