「 お月さんは今夜は傘かぶっとうけん
明日は雨じゃ 」
母は何度も暗い外に出ては ひとり呟いていた
「 仕事は行けんかも 」
と また言うてる
仕事に行かなければ死活問題や
母はそれを気にかけているのだ
わたしは何を言うすべを知らず
でも切なさで月のひかりで潤んだ目をして
母を見ているだけやった
わたし 7歳のころ
🍒
あれからずいぶん日もたったけど
月は変わらず いまは
わたしのベッドを
その明かりで照らしていた
やわらかくて あたたかい
月の明かりや
電気もつけず
カーテンもおろさず
月あかりだけにする
ベッドの頭の位置から
だんだん足元におりてきて
しまいには
床におりて
そして消えていくねん
わたしは
ベッドの端に腰かけて
そのあかりを取ろうとするけど
いつのまにか
跡形もなくなってるねん
そして
母のことを思い出す
いまなら言える
( かあさん 明日は雨じゃけん
ゆっくり家で休んだらええけん )
すぅ
ありがとう❤
感謝