言葉の側から働きかけることはない しかし
ある文脈の中で心をときめかせる言葉がある
また ある文脈の中で頬を火照らせる言葉がある
さらにまた ある文脈の中で体を凍りつかせる言葉がある
(中村稔)
潮風とタンポポの丘で
水平線が空にとけて
どこまでも淡い青が広がっていた
午後 わたし達は
タンポポの丘で
とりとめのない言葉を投げあっていた
「 今日の空は雲がないね 」
「 あそこの岬まで泳げるかな 」
弾むようなきみの声は潮風に乗って
タンポポの花のあいだをすり抜けていく
けれど・・・しばらくすると
不意に話題が途絶えてしまった
わたしは
揺れるタンポポを指先でなぞる
「 あのね 」
言いかけて飲みこんだ
わたしの頬が桜色に染まっていた
春のひかりがまつ毛に透けている
タンポポの丘で止まった時間が風に吹かれた
言葉はいらない
潮騒だけがひびく
わたしは勇気をだして彼を見た
頬を染めたわたしに
彼は小さくうなずいた
春の日の午後
上の絵は山のカケスさまより
お借りしました
いつもありがとうございます(_ _;)
すぅ
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感謝です
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