私は、赤ちゃんが亡くなってから
先生から、促進剤やらバルーンやら
出産の説明を聞いて
怖くなった。
生まれて来ても息をしていない我が子を
出産するために陣痛の痛みに耐えるのかと。
生まれた後も悲しさしかないのに
さらにこんな大変な思いをしながら
痛みに耐えるのかと考えると
恐怖しかなかった。
どう考えても、精神的に
耐えられる自信がなかった。
でもいざ、その場になると
本当に普通の出産と何一つ変わらなくて
ただただ我が子に会いたい。
愛おしいお腹の赤ちゃんの
お顔が見たい。抱きしめたい。
それしかなかった。
いままでの恐怖が嘘のように、
愛しくて大切な命が
私のお腹の中にいてくれたことに
感謝しかなかった。
ただ会いたい。
その思いだけで痛みに耐え、
頑張れた。
助産婦さんが赤ちゃんの名前を聞いてくれ、
一緒に、煌くんがんばれ煌くんがんばれ
と優しい声で語りかけてくれた。
娘の時と同じように
陣痛が来るたび、
煌くん、大丈夫だよ。
頑張って。大好きだよ。
いっぱい抱きしめるから
安心して出ておいで。
と何度もなんども話しかけた。
そして朝8時、
子宮口が全開でバルーンが外れ
そのまま赤ちゃんのお尻から
出産した。
夢だった、隣での添い寝も実現できた。
娘を実家に連れていってから
病院に向かってくれていた旦那は
出産には立ち会えなかったが、
生まれた直後に来てくれて
赤ちゃんとの時間を
たくさん過ごせた。
母に電話したら
頑張ったね、と泣いていた。
旦那も私も煌くんの顔を見て、
娘にそっくりだね、と言った。
お顔を見て、当然だけど
間違いなく私たちの家族だ!
と思い、さらに愛おしくなった。
亡くなったと知った朝は
お腹が冷たくて冷たくて
辛かったけど、
生まれて来た我が子は、
あったかくて、本当に
ただ眠っているだけのようだった。
煌くん、生まれて来てくれて
ありがとう。
改めてそう思った。
なにか、すごく満たされたような
感謝の気持ちでいっぱいだった。