ボクがまだいたいけだったころ。
もう30年くらい前。
お盆休みに親戚一同が集まって、子供同士でトランプ遊びが始まった。
その時、従妹のねーちゃんが教えてくれた遊び、「ざぶとん」。
カード全部をみんなに配り、カードを裏返しにしたまま場の中央に「1!」、「2!」…と順番に置いていく。
自分の番のときにちょうど自分が出さなければならない数字のカードを持っていればいいが、ない場合でもあたかも「ふふっ!ちゃんと持ってるんだよー。」というフリをして出していかなければならない。
で、「あ、あいつ、その数字持ってないはずだぞ? ちがう数字のカードを出したなっ!」
と疑惑を持てば、そこで元気よく
『ざぶとん!』
とコール。
コールされたら、出したカードを表向きにして、正しい数字だったかどうかをチェック。
正しければ、ざぶとんコールをした者が場に溜まっているカードをすべて取らなければならない。
読みどおり違った数字が出ていれば、コールされた者がカードをすべて取る。
そして、いち早く手持ちのカードをなくした者が、勝ち。
ここまで読んで、懸命な読者各位はお気づきであろう。
そう。このゲームの正しい名前は、
「ダウト」。
ボクがまだいたいけだった30年ほど前、このゲームを教えてくれた従妹のねーちゃんも、まだ中学に入ったかどうかという年頃だったはずだ。
彼女は、どこかでこのゲームを体験したんだろうが、悲しいかな「doubt」という英単語がわからなかった。
「doubt」
「ダウト」
「だうと」
「だうとん」
「ざうとん」
「ざぶとん!!!」
↑この段階で、はじめて彼女は自分のボキャブラリーにある言葉に出会ったのだ。
もしかしたら、場の中央のカードを出すところには文字通り座布団が敷かれていたのかもしれない。
で、「ざぶとん」に決定。
あれから何度「ダウト」をして遊んだだろうか。
その度、ボクの中ではそのゲームは「ざぶとん」であり続けた。
そして、今遊んだとしても、それはやはり「ざぶとん」であろう。