2024年初版、あまりに有名な「進化論の父」の評伝です。実はダーウィンの伝記は数冊持っているのですが著者が生物学者として著名な方だったりして「難しいのじゃないか?」とつい敬遠していました。そこへ中公新書メールマガジンで本書の刊行を知り「中公新書なら…」と読んでみた次第です。
著者の鈴木先生は進化生態学がご専門の若き(今年40歳!)学徒で、体力・気力の充実した時の著作にはやはり力があります。平易な書きぶりにつられて面白さに夢中になり2日半で読み切りました。
意外なことにダーウィンは天才型の人ではなく努力型の人だったようです。植物の受粉を観察した数十回の実験やフジツボの分類に費やした何年もの歳月などがそれを示しています。ただ洞察力については真実天才的だったようです。
本書はダーウィンの生涯をたどりながら進化生物学のエッセンスをも併せ知ることができる良書でオススメできる一冊です。グールドの「ダーウィン以来」(ハヤカワ文庫)と併せて読むと興趣が増すことと思います。