2009年初版、前回に引き続き河合信和さんのご著書です。人類学について99の設問がなされています。これがなかなか意表をつく設問で、自分が知ったつもりでいたのは単なる思い込みに過ぎなかったことを思い知らされます。また、これだけの論点があるということは人類学がそれだけのびしろのある分野といえるでしょう。

そういえば今年はレイモンド・ダート博士がアウストラロピテクス・アフリカヌスの化石を入手して狂喜した年の100周年に当たります。人類学とはまだまだ若い分野なのです。いまこうしている間にも多くの研究者たちが灼熱のアフリカの岩石砂漠で新しい化石を発見せんものと必死の努力を続けています。河合さんによれば人類進化の系統図はほぼ10年ごとに書き換えられているそうです。自宅にいてその成果を新書という手軽なかたちで味わえる僕たちはなんと贅沢なのだろうと思います。新たな発見が待たれます。

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