2015年2刷です。前回と似たようなタイトルですが内容は少し違います。「人類進化の700万年」は進化論を基礎に人類学研究のあらましをわかりやすく説いたのに対し、本書は研究(発掘)史に寄り添うかたちで現代人類学の概説書としたものです。

著者の河合さんは北大卒業後、朝日新聞に入社してサイエンスジャーナリストになられた方です。そのため、わかりやすい記述をこととしながらも学問的なレベルは決して落としていません。

それにしても人類の進化についてわかっていることのなんと少ないことか。新しい化石が発見されて研究データが出されることにより、これまでの「常識」がいとも簡単にひっくり返る世界です。

確かなことといえば中学で習った猿人→原人→旧人→原生人類という図式は誤りで、数十種の「人類」が滅んでいくなかで原生人類のみが環境にうまく適応し進化することができた、それも多分に偶然の産物だったということぐらいです。

また、研究者もまた人間なのだというエピソードにも事欠きません。論争ぐらいは当たり前のことで縄張り意識・出し抜き・功名心のすごいこと、呆れるばかりです。

中でも発掘現場(フィールド)を牛耳るボスが引退するときに後釜を狙う新参研究者はボスに相応の「仁義」を切らねばならないというのが印象的でした。

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