2005年初版、19年前の本ですので少し内容に古いところがあるかもしれません。それほど人類学の発展は日進月歩なのです。僕が高校生のときに習ったのは「人類の起源は250~480万年前」というものでした。それが700万年前とは!ちなみにこれはヒトがチンパンジーとの共通祖先から枝分かれした年代です。その間には色々なことがありました。例えばパラントロプス・ロブストゥスやジンジャントロプス・ボイセイといった大型猿人がアウストラロピテクスの仲間(アウストラロピテクス群)に入れられたり長いことアウストラロピテクス・ラミダスが「最古の猿人」とされていたりなどです。こう書くと人類学って難しそうな感じですが本書は違います。著者三井さんは京大理学部出身ですが読売新聞に入社しサイエンスライターとして活躍されてきた方です。僕が挙げたような専門用語も極力使わず何よりもわかりやすさを第一にして素敵な人類学の入門書になっています。第6章「遺伝子から探る」が興味深く読めました。DNAの塩基配列から化石の年代を推定する話ですね。ただわかっていることはあまりに少ないのです。逆にいうとそれだけ人類学は新しい発見に満ちた魅力ある分野といえるかもしれません。
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