2018年初版、わずか199ページの小冊ながら中身は濃いです。前回の「享徳の乱」に続いて板東武者の生きざまを知りたいと思い手に取った訳ですが固有名詞(人名・地名)の洪水に翻弄されっぱなしでした。これは筆者が悪いのでも僕が格別頭が悪いのでもなく、とにかく離合集散常ならない板東武者たちの争うさまが複雑怪奇すぎるからだと思うのです。

享徳の乱から豊臣秀吉の小田原攻めまで150年です。巻末の年表を見れば分かるようにほぼ毎年戦に明け暮れています。理由は単純、「一所懸命」の領地を争うか「家督」の地位を争うかです。それがなぜ「複雑怪奇」になるかというと一族あい別れて実力者(関東管領上杉氏など)の下につきボスはさらに高貴な血族(古河公方足利氏など)をかついで錦の御旗とし、実力の伯仲する相手方と戦うからです。裏切りと下克上の風潮が事態をさらにややこしくします。

登場人物のほとんどが戦乱の中に生をうけ戦乱の中に死んでいきます。読んでいて悲しくなるほどです。ですが一方で思うのです。板東武者たちを野蛮人と現代の我々は笑えるのか、彼らに比べて恥じない生き方を自分たちはしているのかと。

今日もお付き合い下さりありがとうございました。