2017年初版です。神聖ローマ帝国を構成していた諸侯家の歴史を概観するというコンセプトですが力作だと思います。ルクセンブルク家、ヴェルフェン家、ホーエンツォレルン家といった世界史の教科書に出てくる家系や皇帝家ハプスブルク家はもちろん、ヴィテルスバハ家、ヴュルテンベルク家、ヘッセン家などなかなか他ではお目にかかれない家系の歴史を知ることができ面白いです。ただ、巻末の諸家系図に明らかな誤りがあったり固有名詞に誤記があったりといくらか注意して読まねばならないところはあります。それでもドイツ・オーストリア文学がご専門のゆえでしょう、読ませる文章で単なる概説に終わらないところはすごいものです。菊池先生の「神聖ローマ帝国」(講談社現代新書)は固有名詞の誤記が目立ったので少し残念でしたが、今回は先生の文章力が良い意味で歴史を活写してくれました。

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