2019年初版です。講談社現代新書・中公新書と「神聖ローマ帝国」と題する本をご紹介するのは三冊めになります。なぜこうも拘るのかって?笑わないでください。それは中学の歴史の時間、先生が拡げた歴史地図の真ん中に厳然と存在した「神聖ローマ帝国」の名称と姿がいかにもカッコ良かったからなのです。

それなのに、ああそれなのに今回は選書を失敗してしまいました。いえ、決して悪い本ではないのです。ただ研究書寄りの概説書でひたすら真面目なのです。真面目が悪いとは申しませんが歴史にロマンを求める僕のような者にはちょっと食い足りない感じがするのも否めないところです。「物語イタリアの歴史」(中公新書)で神聖ローマ帝国史のハイライト「カノッサの屈辱」を藤沢道郎先生の名文で読んだ身としてはここだけでももう少しメリハリのある文章で読みたかったと思うのです。そういう意味では教養文庫版世界の歴史⑤中世ヨーロッパも負けていません。「カノッサの屈辱」は「1076年10月、ドイツ諸侯はマインツの南トリブールに集まった。」で始まります。いかにも何か起きそうでぞくぞくする書き出しです。

まあそんな嗜好ですので今回は残念ながら選書ミスです。ネット本屋さんばかりでリアル本屋さんに行かないため時にはこんなこともありますね。

本日もお付き合い下さりありがとうございました。