昭和51年初版、新書日本史④です。一口に言うと室町時代(広義)の通史であります。南北朝時代・戦国時代を含む約200年の歴史です。220ページでそれが可能なのかと心配になりますが昔の本ですので字が小さく行間も狭くみっちり内容が詰まっています。

室町幕府の歴史を一冊で扱っている概説書はあまり見かけませんので同じ事項を取り扱っている類書に比べても新鮮味があります。文章もごく読みやすいです。例えば一揆にしても徳政を求める民衆と金貸しだった禅宗寺院と民衆や寺院から収入を得ようとする幕府の三者三様の思惑による駆け引きを描く新しい視点が興味深いと思いました。通説にとらわれず常に新しい視座を提供しようとする姿勢が好印象です。

それにしても末期室町幕府の権力闘争は複雑怪奇です。足利将軍家と管領細川家の跡目争いに下克上の風潮がからむのでそうなるのですね。でも面白いです。一読の価値ある本と言えましょう。

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