1991年2刷、現在は朝日新書で読めるようです。本書の元本は1957年初版とのこと、林屋先生若書きのご著書になります。先生は京大出身の学究でいらっしゃいます。あくまでその文章は格調高く初めて読む人にはむしろ生硬な感じすら与えるかも知れません。しかし読み進めるにしたがって歴史に対する情熱、言い換えれば「この人は本当に歴史が好きなんだなあ」という感嘆の念を感じずにはいられないのです。本書は人物中心の歴史書ですが第一章「結城宗広」第四章「後村上天皇」など他書ではあまり馴染みのない人々が尊氏や義満といったネームバリューの間に取り上げられているのも魅力のひとつです。南北朝史をひととおり見渡せる格好の入門書と言えるでしょう。

今日も歴史書談義で終わってしまいました。言ってみれば独りよがりの駄文に目を通して下さる皆さまには感謝あるのみです。