大河ドラマ『光る君へ』が好評のようなのでこの本を読んでみました。2023年2刷(同年初版)です。著者の倉本先生は平安時代の貴族の日記(古記録)の研究がご専門で、藤原道長「御堂関白記」、藤原実資「小右記」、藤原行成「権記」の三つの古記録を全現代語訳しておいでです。そして何より『光る君へ』の時代考証担当でいらっしゃいます。
古記録を読み込む先生の眼差しは鋭いです。主に国文学の領域で論じられてきた紫式部の没年に関する様々な「学説」についても「理解できない」の一言で切って捨ててしまいます。古記録という一次史料から証明できればよし、できなければ精緻な学説に見えてもそれは憶測に過ぎないというご姿勢なのでしょう。
ドラマはドラマとして楽しみ、原文でなくとも現代語訳、漫画でもいいから(良質のものに限るが)源氏物語を読み通して欲しいと先生はおっしゃいます。更に訓点つき、現代語訳のものでいいので古記録を繙いて欲しいとも。そういう気になる一読の価値ある良書です。
