2014年2刷、歴史文化ライブラリーの一冊です。戦前には皇国史観という歴史観がありました。南朝=正義、楠木正成その他=大忠臣、足利尊氏=大逆賊などの極めて偏った考え方で主に平泉澄という当時の大学者によって唱えられました。因みにこのセンセイ、農民の歴史を研究したいと言った学生に対し「豚に歴史がありますか?」と大暴言を言い放った方であります。敗戦後、その言動ゆえに東大を追われました。ですが今に至るも皇国史観の亡霊は消え去りません。小学校の先生が校長から「皇国史観に基づいて歴史を教えます」との誓約書を求められたほどです。そこで気鋭の学者・亀田先生は徹底的に南朝を美化することのない南北朝史を書こうと決意する訳です。通史部分も面白いですが終わりの「教訓」「歴史から学ぶとは?」の2章には考えさせられました。こういう歴史書もあっていいのだと思った次第です。