1999年初版・再版。皇族研究で著名なジャーナリスト出身の文筆家・浅見雅男さんはこんな本も出していました。戦後、日本国憲法の施行と共に廃止されるまで80年近くにわたり華族という階級が日本にはありました。公侯伯子男の五爵です。雲の上の世界とされていたためか我々庶民には今一つピンとこない方々です。それにしても80年ものあいだ社会の上位に位していた人々です。近現代史に何らかの足跡を残していない筈はない、こういうところから浅見さんの探求は始まります。まずは余り知られていない華族制度の沿革をわかりやすく丁寧に。ここを読むと封建制度の遺物の受け皿として華族制度が必要だったことがよくわかりました。それにしても諸侯で260年、公家に至っては1000年の歴史があります。家格や勲功などびっしり絡みついたツタのような遺物と共に。これをバッサリ切り落として五等爵に当てはめるのだから乱暴と言えば乱暴です。当然諸方から不満の声が沸き上がります。ここから後半の昇爵請求運動の悲喜劇へと続いていく訳です…。