2015年初版、現在は草思社文庫で読めるようです。「江戸人の性」「大江戸残酷物語」「大江戸死体考」などの著作で読書界の度肝を抜いた氏家先生またも問題作です。戦国の余風を残す17世紀前半はまたとない酷い処刑が行われます。主人の妻(たいへん使用人に厳しかった)を切り殺すのは悪いには違いないが僅か12~13歳の小娘を竹鋸で鋸引きにして息のあるうちに磔です。これは一例に過ぎず読んでる途中気分が悪くなるくらいでした。それを改めたのが17世紀後半の名君吉宗です。中国人と(通訳を介して)問答し清朝の法制度の要点を掴んだ吉宗は有名な「御定書百箇条」を定めます。近代的な罪刑法定主義の始まりとも言えましょう。時代はこうして寛刑化の方向へと進むのですがひとつ取り残された場所がありました。すなわち牢獄です。当時の牢獄はまさに生き地獄でお話にならない衛生状態と囚人のリンチでパタパタと人が死にました。岡本綺堂の名作「半七捕物帳」でも犯人が牢死するのが多い訳です。一説には江戸で毎年1,000人死んだとも。これを改革するには明治維新を待たなくてはなりませんでした。それも不平等条約改正のために日本が文明開化(西洋化)したところを見せたいがためでした。囚人のためを考えてじゃなかったんですね。