どんどん行きましょう今度は女子シングル編です。



一貫田紗生さん

(SP30位:42.69)


今季ジュニア1年目の選手です。昨季はノービスAの推薦選手ではなかった中での今季全日本進出となりました。なかなかなジャンプアップです。非常にたおやかな動きが得意な中で、今季は3Lz+3Tを組み込んでいましたが、全日本ではジャンプに力が入りきらなかった感じでした。


森実愛さん
(SP29位:44.13)

中部ブロックの大学生スケーターのほとんどが中京大学の選手である中で、数少ない名城大学の選手です。ボディラインの綺麗さを持ちつつ、根性がすごいジャンプを持っています。コンボのファーストジャンプが2Lzになった後に+3Tを付ける根性を今回も見せましたが、締めきれなかったのが惜しかったです。


吉田陽菜さん
(SP28位:49.46)

毎年全日本では「なんでこの選手がFSに進出出来なかったの…」という波乱が発生してしまいますが、今大会は吉田陽菜さん。。
いつもバイタリティ溢れる演技と表情を見せてくれますが、今大会のジャンプの出来ではさすがにそれも出し切れなかった感じはしました。それでも大会後ある程度明るさを見せてくれたところは陽菜さんらしいなと思いました。


清水咲衣さん
(SP27位:51.39)

少し滑る距離は小さめになってしまいましたが、体の動かし方はかの宮原知子さんを思わせる綺麗さを持っています。そんな選手がノクターンを演じたら似合わないわけがないのです。


三枝知香子さん
(SP26位:51.46)

大学生になってから毎年全日本選手権に進出していましたが、これまで3年間FSに進出できていなかった中で、今年の全日本選手権はFS進出を狙っていたと思います。その意味では最初の3T+3Tのコンボを狙いすぎてファーストジャンプを高くし過ぎないようにした結果、上手く着氷に繋がりきらなかった感じがしました。本当にフィギュアスケートは難しい競技だと改めて考えさせられた演技でした。


大庭雅さん
(SP25位:51.79)

今季はもともと練習時間がこれまでよりも上手く取れていなかったと思われる状況だったと思います。その中で限られた時間で効率よく練習をしていたのだなぁというのが中部B⇒西日本選手権で非常に伝わってきました。中部Bの体幹オバケの山下真瑚さん松生理乃さんに勝るとも劣らない大きく複雑な動きが見られました。


岩崎陽菜さん
(SP24位:53.13、FS24位:92.22、総合24位:145.35)

ジュニア時代から近畿Bで元気いっぱいに滑って、難しいジャンプもよく決めていました。そこから大学進学前後で少しずつ苦戦するようになり、2023年西日本ではまさかのSP落ち。そこから2年掛けてスケートのパワーが付いてきて遂に全日本進出となりました。
その全日本ではSPもFSも3Lz+3Tを組み込みました。私が見てきた範囲では2021-22シーズン以来の4年ぶりです。特にSPでもし+2TだったらFS進出は出来ていなかったと思われるため、結果的に挑戦が功を奏した形になりました。初出場でジャンプは全部着氷という快挙です。


鴨井彬莉彩さん
(SP23位:53.16、FS22位:96.66、総合23位:149.82)

強い目力で体を目一杯動かして演じるのが好きなのがとても伝わってくるスケーターです。これぞまさにB6女子!!昨季はSPで全日本進出圏内に入りながらあと一歩で進出が叶わなかった状況だったので、まさに今季は大リベンジとなりました。


山田恵さん
(SP14位:62.31、FS23位:95.92、総合22位:158.23)

これまた踊ることが大好きなスケーターです。今でこそ木下アカデミー所属ですがノービス時代はB6所属でした。なので山田さんもB6女子であると言えます!!
そんな良さは全日本ではSPで非常によく表れました。NINEがとても似合う似合う。全日本の舞台で初めてSP60点超えということになりました。
FSになると勢いが保ちきれずいつも以上に演技のスケールが出し切れなかったです。これはこれで経験ということで…
それでも会場の空気をある程度楽しんでそうにも見えました。


村上遥奈さん
(SP20位:56.84、FS20位:113.95、総合21位:170.79)

ジュニアに上がってから4年間、本当に地道にプログラムの演技の幅が広がってきているように見えます。今季のFSのタイタニックはテンポの速いところとゆっくりなところの演じ分けがとてもハッキリしています。これまでと違って1つのプログラムの中で大きく緩急を付けて演じ切るという能力が備わってきた感じがします。


櫛田育良さん
(SP22位:55.47、FS19位:115.39、総合20位:170.86)

アイスダンスと両立してきたシーズンです。櫛田/島田組としてのアイスダンスの完成度もかなり高いものでしたが、一方でシングルとしての櫛田育良さんのプログラムもかなり完成度が高いものとなりました。アイスダンス参戦によって体の動きが「大きく」「リズムハッキリに」「複雑に」という3拍子そろったものとなりました。今季の演技構成点で評価されている項目がCOとPRというのも非常に頷けます。


和田薫子さん
(SP17位:60.82、FS21位:110.08、総合19位:170.90)

元々課題として持っていたジャンプの回転と上半身の動きのポジショニングという弱点が今季顕著に表れ、苦戦を強いられるシーズンとなってしまいました。元々曲に合わせて滑るという点では弱点となっていた和田さんが、2023-24シーズンに解消され始め、昨季むしろ得意になってきているなぁと感じていたので、今季また弱点として表れてしまったのがちょっと驚きとして受け止めています。和田さんは和田さんでまた今後のスケート人生を考えると今が過渡期なのかもしれないです。


住吉りをんさん
(SP21位:56.37、FS18位:116.82、総合18位:173.19)

りをんさんのポテンシャルを考えるとこの順位になってしまったのが本当に惜しい思いがあります。「深いカーブで美しい姿勢で細かい音を取りながら滑る」というのがりをんさんの良さですが、一方で「制御力に難がある」というところからこれまでの試合でも成績が大きくブレてしまうというところが見られました。
加えて、FSでは2A+3Tと4Tの順番を「先に4Tを入れて勢いをつけたい」という理由で途中で変えてしまったのもFSで決めきれなかった原因なのかなと思いました。全日本の演技を見る限りこの2本のジャンプのタイミングを決めきれないまま演技をしてしまい、結果的に最後まで動揺してしまったのかなとも思いました。
この結果をもってりをんさんのポテンシャルはこんなものとも思わないので、あとはどうにかりをんさんの良い演技が来ることを願っています。


髙木謠さん
(SP15位:61.62、FS17位:118.11、総合17位:179.73)

FSは松生さんの次に滑りましたが、松生さんのブラケットを挟んだスパイラルに負けない「ほとんどを左足のアウトサイドエッジで滑りながら技を出し続ける」というコレオシークエンスを披露しました。ここ2シーズンは少しジャンプに苦しんでいる面は無きにしもあらずですが、一方で体幹がどんどん強くなっているのを感じます。


金沢純禾さん
(SP19位:57.09、FS13位:124.58、総合16位:181.67)

全日本では3Lz+3Tを決めようとして失敗し3F+3Tにリカバリーするなど、全部を完全に意図通りに出来たという実施ではありませんでした。しかしながらジュニア1年目でありながら自分のやりたい演技はこれなんだ!!というのをダイレクトに伝えるのが上手な選手です。演技はさることながら、口でも伝えるのがとても上手です。こんなにハキハキと話が出来る中2の選手というのもなかなか珍しいと思います。


山下真瑚さん
(SP11位:63.43、FS16位:119.75、総合15位:183.18)

この順位で真瑚ちゃんの項目が来るとは…という思いがないわけではないですが、やはり真瑚ちゃんの凄いところは「どんなジャンプの出来でも「マコらしさ」は失われない」というところだと思います。
ターンをこなしている時の体の倒し方、イーグルをしている時の体の倒し方を見ていると、音楽の細かいリズムに合わせながら体をグネグネ動かしてスケールを大きく見せるにはどうすれば良いかというところにこだわって演技をしているように見えます。
会場を「ほかほかすぎる空気」「この氷とバイバイしたくない」と表現しましたが、私も真瑚ちゃんの演技でずっとほかほかしたいし「マコらしさ」とバイバイしたくないですね。


岡田芽依さん
(SP18位:60.43、FS12位:124.86、総合14位:185.29)

全日本ではジャンプの情報がやや多くなってしまいましたが、しかし「みんなに付いていく」という思いで西日本〜全ジュニ〜JGPF〜全日本で3Aを組み込んで来ました。ノービスAでシード選手として臨んでいた頃のシーズンから細かいターンによる音取りが特徴でしたが、どんどん体幹が強くなってきている中でその動きに切れ味が増してきているのを感じます。


江川マリアさん
(SP9位:64.76、FS15位:122.53、総合13位:187.29)

大学4年生のシーズンですが、今まで見てきた江川さんのなかで今季が一番の状態なのではないかと感じます。ジャンプが面白いように決まるし、アベマリアとトゥーランドットをまさしく崇高に演じました。
結果的に今季が引退で、船上スケーターになるということが分かりました。全日本の演技を見て滑っている姿勢がとても綺麗だなぁと思っていたので、ショースケーターとして凄く似合うと思います。


河辺愛菜さん
(SP10位:64.12、FS14位:123.24、総合12位:187.36)

昨季からジャンプを鍵山正和コーチに見てもらい、今季から本格的に拠点を移しました。それもあってジャンプの軸が以前よりかなりまとまってきたという印象を受けます。あとはそれを試合の中で振付を実施した中で出来るかどうかというところです。その意味ではまだ曲かけの中でのジャンプという意味では改良段階であるという風に見えました。とは言え、爆速の中で細かいリズムを上半身で惜しみなく表そうとする良さはほぼ失われておらず、これぞ河辺さん!!というようなスケーティングが見られました。
4年前の北京五輪の代表に選ばれたものの、その五輪では非常に悔しい結果になり、ここで潰れてしまうかもしれないという懸念も少しありましたが、その後の4年間でマイペースに試合に出続け、ある程度本人の中で楽しんで試合のスケートに臨んでいるというのが分かりました。そして4年後の全日本でまた3Aに挑める状況に戻しているというところもまた河辺さんならではだと思います。


松生理乃さん
(SP16位:61.26、FS10位:128.94、総合11位:190.20)

2022年、2023年の全日本では信じられないような順位で終わってしまった大会でしたが、昨季は力を上手く出し切って5位に。それでも昨季はなんとなくずっとこわごわと滑っている様子だったのがとても気になっていました。
その中で今季のFSはくるみ割り人形のアダージョで、常に柔らかい表情で滑りやすいテンポの曲に合わせやすそうな様子で滑っていました。ジャンプをとにかく確実に決めることに重きを置いて今季全体的にちょっと慎重になっている様子はまだ気になりましたが、滑っている松生さんがある程度満足そうな柔らかい表情で滑っているところが見られたところが良かったです。全日本でも全体的にややパワー不足気味で、少しリンク使いが小さめになってしまいましたが、綺麗なカーブを常に描き続けるという演技でした。私としてはもう少し伸びやかな様子で滑る松生さんが見てみたかった気持ちもありますが、それでも松生さんが笑顔で大会を終えることが出来たという点でホッとしております。


三原舞依さん
(SP13位:62.77、FS11位:127.86、総合10位:190.63)

もともと体の状態が思わしくない中でこれまで競技のスケートに臨んでいましたが、ここ3年はさらに足首の怪我も重なり、もうまさに満身創痍という状況だったと思います。今季はその中でサマーカップでは3位表彰台、そこから近畿ブロック⇒西日本選手権でも良い演技を続けてきた中で、今後の競技をどうするのかな…?というところが気になっていました。その中で大会前に舞い込んできた引退のお知らせ…ある程度覚悟はしていましたが、遂に…という気持ちになりました。
まさに最後の演技となったFSは本当に特別な時間になりました。体の状態が厳しい中で7本のジャンプボックスを完遂する演技、それが終わった後のお手本のようなターンのStSq、そして演技が終わった後の鳴りやまないスタンディングオベーション、まさに三原舞依さん本人とそのファンのための時間があっという間に、しかし長い時間味わっているというような感じがしました。


三宅咲綺さん
(SP12位:62.84、FS9位:132.65、総合9位:195.49)

サマーカップや木下杯ではSPで圧倒的な演技を見せて、FSでは3Aに挑んで、これまで国際大会にほぼ出ていなかった選手による五輪代表選考の旋風が吹き荒れていたという感じでした。近畿Bや西日本でどんどん良い演技が提示されてきた中で、全日本ではどんな演技が出てくるのかと期待しておりました。
その意味では、全日本選手権の演技は、いつもの大きなスケールのスケーティングが見られず、ジャンプのコントロールもいつもより出来ていなかったという印象を受けました。いきなり五輪狙える位置になってしまっただけに、この全日本で少し自分をコントロールできなかったのかなと思いました。
それでも力やスケール、ポテンシャルがあることは今季思う存分見ることが出来たので、来季以降にどのような活躍をしてくれるのか本当に楽しみな選手です。行けるところまで行って欲しいという気持ちがあります。


樋口新葉さん
(SP8位:69.47、FS8位:133.59、総合8位:203.06)

今回の全日本をまさに最後の演技と位置付けて挑みました。今季を最後と決めている中でシーズン序盤から足の状態が良いものではなく、最後のGPSの試合のスケアメではFSで100点を超えないなど非常にもどかしい気持ちになるシーズンとなってしまいました。誰もが新葉さんの最後の試合の演技がどんな感じになるか心配していたと思います。
その中で出てきた全日本の演技は、まさに新葉さんの真骨頂とも言える、土台の足元がガッチリ安定している上で上半身があまりにも自由自在に動く姿でした。SPでは時にこれまでついていた憑き物が取れたかのような自分のやりたい柔らかい演技、FSではそれでも最後まで強く生きる姿が見られました。FSのワンダーウーマンは速いテンポの7拍子の曲ですが、それを上手く足元や上半身で上手く体を止めたり素早く動かしたりというのを上手く繰り返していました。こういうリズム感の良さをそのまんまスケートに体現できるスケーターは本当になかなか見ないです。その点でやはり新葉さんは唯一無二のスケーターです。


渡辺倫果さん
(SP6位:71.36、FS5位:140.16、総合7位:211.52)

大事な試合で絶対にシーズン最高の演技をするウーマンです。まさに今年の全日本も心技体を揃えた演技となりました。SPではシーズン通して冒頭の3Aを着氷、FSでは全日本で2本とも3Aを綺麗に着氷するという快挙を成し遂げました。こういう心臓の強さという意味では今の現役選手の中でも髄一のものを持っています。
FSでは後半の3Lzくらいから少し疲れが見え、3連の少しの乱れや終盤2つのスピンで回転速度が遅くなり、StSqではリンクカバーがもう少し…という感じになってしまったのが気になりましたが、それを根性で乗り切りました。


岡万佑子さん
(SP5位:73.20、FS6位:138.53、総合6位:211.73)

今季まさに大躍進のシーズンです。JGP前後の時期にはスケートが大きくスケートを伸ばしその中で特徴である軟体を活かした演技だなぁという印象が強く残っていましたが、全ジュニくらいから3Aが急に安定し始め、まさにジャンプと特徴的な振付を両立できるような選手になってきました。
SPでは2Aとほぼ同じ入り方から3Aを決め、FSでもクリーンに3Aを決め、それぞれそのうえで細かい技術をふんだんに入れた演技が披露されました。いろんなファンの人がお話していますが、氷の上に乗って演技している時は背が大きく見えるのに、実は153cmというのが驚きです。GPFの時に日本ジュニア女子4選手を近くで拝見したのですが、確かに4選手ともほとんど同じ背の高さだったので、153cmというのはさもありなんという感じではあるのですが…笑
複雑なプログラムが出来て、体が柔らかくて多様な動きが出来る、まだシニア勢の中ではスケートのパワーはまだまだでありながらスケーティング技術はどんどん伸びてきている、あとは体のケアをしっかりすれば今後が大変楽しみな選手となりました。


青木祐奈さん
(SP7位:69.84、FS3位:142.16、総合5位:212.00)

多くの人が感じているとは思いますが、今大会の個人的なMVPといえる選手です。青木さんは確かに昔から伸びやかなスケートの中で正確にターンをこなしつつ胴の周辺を軸にした大きな上半身の動きが得意で、上半身と足元を上手く繋げるというところが素晴らしいスケーターだとは思っていました。しかしここまでStSqが上手な選手だったのか!?を発見したのがまさにこの全日本だと思います。
FSのララランドはまさしく名演になりました。4分間で複数の曲をそれぞれのスケールで演じ分けるだけでなく、その1曲ごとに細かいテンポで上半身の動きと足元の鋭いエッジワークで緻密に組み立てられた演技となりました。3Sの後のスネーク的な動きの巧みさがこのプログラムの楽しさをより引き立てたのはもちろんですが、今大会はジャンプの降り方が余裕だったことの裏付けでもあると思います。
FSのStSqは細かく細かく動いているはずなのに、上半身は体の軸の外側に思い切り動かしながら、加速するところでは加速するという巧みさが見られました。
私に限った話ではないと思いますが、このプログラムは今季の中で指折りに大好きなプログラムになりました。是非ともシーズン終盤の記事でまとめたいと思います。


中井亜美さん
(SP3位:77.50、FS7位:136.06、総合4位:213.56)

シニアに上がってからスケートのスケールや滑らかさが明らかに1段階上がりました。SPはそれを活かして足元の動きで緩急を付けたりトップスピードになるまでの時間が短い伸びを出したり楽しそうに、FSでは逆に氷に吸い付くように綺麗にターンをしながらカーブを描いてしっとりと演じました。
全日本で見て少し気になった点としては、FSの終盤の3Loくらいから少しリンクカバーが小さくなっているという点です。
今大会五輪代表に選ばれるという点では冒頭の3Aが2Aになっても落ち着いてこなし切るというところが良かったと思います。一方でその先の五輪の中で演技をするという点では3Aを決めないと終盤のリンクカバーが弱点として浮かび上がってしまうかもしれないなと思いました。その点に関しては残り2ヶ月程度でどんな風に仕上げてくるのかを見てみたいです。


千葉百音さん
(SP4位:74.60、FS4位:141.64、総合3位:216.24)

GPFの前までは五輪代表間違いなしという実績を誇っていましたが、GPFのFSの演技でエッジジャンプ2本の失敗をしてしまい、そこで危ない立場になってしまいました。五輪代表選考の情報が溢れかえっているこのご時世、ファンはもちろんですが本人サイドの不安もおそらく大きかったと思います。
その状況下で迎えた全日本の演技ですが、全体的に危ないジャンプは多かったものの、滑りのスケールには影響は出ていないと感じ取りました。「トップスピードにあっという間になる」「滑っている間に姿勢が全然ブレない」「カーブの切り替えが多い中でも正確なエッジ捌きをする」という良さが全く失われませんでした。そのスケーティングを存分に活かした細かい音取りと曲の雰囲気に合わせた緩急もよく表れていました。
何よりも、恐らく不安が大きい中で自分の良さを失わずに演技をしきったというところが本人の中でも大きな実績になったのではと感じます。


島田麻央さん
(SP2位:79.33、FS2位:148.75、総合2位:228.08)

マオ様はマオ様で今季は足の痛みを抱えながらシーズンの試合をこなしている様子でした。JGPの時点では足の痛みに気を配って演技をしているように、全ジュニでは状態が上がりきらない中での必死な演技に見えましたが、JGPFで一気に演技内容がポジティブになり、全日本ではさらに体の切れ味が良くなったように見えました。
やはり現段階ではシニア勢の中で見ると滑りのスケールやプログラムの複雑さはもう少しという風に見えはしましたが、抜群のターンの切れ味と体の真ん中に太い芯が入っているかのような動きは全日本の中で見ても光っていたように見えました。


坂本花織さん
(SP1位:79.43、FS1位:154.93、総合1位:234.36)

…とまあ全日本に出場した選手を1人1人見てきたわけですが、2階席から見ているとやはりスケールは一目でまったく違うなという風に感じました
「スケール」とひとことでまとめてしまっていますが、下記のようなものが複合的に作用していることから生まれる感覚なのかなと思います。
○ずっとスピードを出していることから生まれるリンクカバーの広さ
○深いカーブから生まれる上半身の大きな動き
○大きなジャンプの後ろに組み立てられている緻密な音取り
そしてそれとは別に、何よりも後輩スケーターが猛追してきている状況で最後の全日本で全部決めきる勝負強さ。坂本花織さんが全日本で5連覇した理由がまさに全部詰まったパフォーマンスが全日本で見られました。

この絶対的なエースぶりは恐らく同年代~後輩スケーターたちの心の支えになっていたのだなぁというのがこの大会を通じて改めて分かりました。FSを終えた後に観客、スケーターなど会場全体で祝福している空気があまりにも温かかったです。私もこれまで全日本選手権を10年間通っていて、その間に坂本花織さんが優勝した回数は6回、2位は2回。当たり前のように見てきた演技が今になって当たり前じゃなかった…というのを実感しています。


総括

女子シングルはまさに神大会となりました。
まず、根本的に出場する選手はみんな根本的にスケーティングが上手です。全日本どころか東西日本の当落線あたりまで含めてよくスケートが伸びる選手がとても多いです。

その中で、全日本のより上位に来る選手は男子シングルで挙げたような「自分をコントロールする」という点においてはクリアしている選手がとても多いです。
そこから先にさらに上位に行くにはやはり「いかに1個1個のターンまで含めて細部まで綺麗に見せるか」「いかにスケールを大きく見せるか」という点が重要に見えます。
今大会3A以上のジャンブに挑んできた選手はかなり多かったですが、表彰台に乗った選手のうち2選手は3Aを組み込まずに上記2点を高い水準でクリアしていると思います。

元々3Aが主流ではなかった時代の頃から言われていた戦い方が、いよいよ3A以上のジャンプを含んだうえでなおプログラムのパッキングの仕方まで気を配らなければいけない時代になりました。このパッキングの仕方については選手の特性に合わせて、それぞれに個性を出しながらやるのが一番の近道であると思います。
それが試される最初の場が五輪であり、さらに先のシーズンも同様のことが言えると思います。
それも含めて今後の各選手の活躍を期待しております。