ミラノ五輪を含めた怒涛のシーズンが終わり、各スケーターの今後がいろいろと判明していく季節となりました。
それと同時に各ファンが今季のベストプロをまとめに掛かってくる季節にもなりました。私は今回で8回目です。(というかこのブログそんなに長い期間実施しているんですね)
例によってやはり長い記事になっておりますので、早速「気になったプログラムのメモ」⇒「次点10個の紹介」⇒「ベスト10」という流れで紹介しましょう!
〜シーズン途中で気になったプログラム〜
(気になった時点で逐一メモした23個)
松生理乃さんFS:くるみ割り人形
永見千代乃さんFS:火の鳥
穂積乃愛さんFS:海の上のピアニスト
アンジェラシャオさんFS:アベマリア
ベイロン/ブランディース組FD:夏ほか
グラドキーさんSP:ショパンピアコン1
ミンギュくんFS:エクソジェネシス
アニカチャオさんSP:白鳥
ハナダニイル組RD:vogue
河野莉々愛さんFS:What a Wonderful World
レヴィトさんFS:シネパラ
ステデシSP:カルミナ
セルナさんFS:愛の讃歌
サモデルキナFS:サンセット大通り
ジンコレFD:ロミジュリ
清水さんSP:ノクターン
ステデシFS:ポエタ
タクーシャFS:ヌレエフ
コンマチFS:Caruso
チョクベイFD:Paint it black
シフリナFS:シンドラーのリスト
ゴゴレフSP:Royal Crown Revueメドレー
クラコワさんSP:N’insiste
この中で特に気になったのはハナダニイル組です。難しいRDの課題にも関わらず毎回ポージングの良さは必ず出してくる演技でした。世界ジュニア優勝しましたが来季もまだジュニアです。
次点(10個)
20.佐藤駿選手
FS:火の鳥
ジャンプが安定して決まって振付の姿勢も綺麗になって、なおかつ世界選手権で特殊なリズムにも上手くハメたプログラムになったなぁと感じました。
19.岡田芽衣選手
SP:Space Table Symphony
初めて岡田さんを見たのは2022年の中部ブロックノービスAの試合でしたが、細かいStSqが上手だなぁと思いました。それを思い出させてくれました。
18.マテオ・リッツォ選手
FS:インターステラー
五輪団体戦のイタリア銅メダルに大きく貢献した圧巻のパフォーマンスでした。音数が少ない中で姿勢が崩れない演技でした。
17.ミネルヴァ・ファビアン・ハーゼ/ニキータ・ヴォロディン組
SP:El Abrazo
これはもういつものカッコいいハセヴォロです!
オリジナル曲ってのがまた良い。
16.オクサナ・ブイヤモー/トム・ブーバート組
FS:マトリックス
世界選手権のFSのパフォーマンスを見て度肝を抜かれました。まだまだ荒削りだけどペア技が全部上手。曲想がダイナミックさに拍車をかけています。オクサナトム組はペアの世界の未来ですよ!と言いたくなるプロ。
15.エヴァ・ケンプ/ヨナサン・エリザロフ組
FS:月の光
ジュニアペアとは思えない完成度の高さです。滑り全体がとても綺麗。ここはここでカナダのペアの未来です。
14.アレクサンドル・セレフコ選手
SP:Kiss
カーブが綺麗、振付が綺麗、リズミカルで分かりやすいしジャンプが決まるとより映える。
そして顔が綺麗。
13.リア・ペレイラ/トレント・ミショー組
SP:Say You Love
トップ10に入れるか最後まで迷ったプロその1。
ペア技が地に足が付いてきていてカナディアンなスケーティングの上に動きのリズミカルさと細やかさが加わったプログラムです。オリンピック〜世界選手権の快進撃を導いたプロ。
12.アダム・シャオ・イム・ファ選手
FS:フィリップグラス
トップ10に入れるか最後まで迷ったプロその2。
体の可動域とその強弱の広さが異様に広くて、なおかつ細かいテンポに必ず合わせるという特徴と、FSならではの高難度ジャンプの連続を上手く当てはめたと思います。あとは本人の制御次第だった。
11.ソーニャ・ヒルマー選手
SP:Take5ほか
トップ10に入れるか最後まで迷ったプロその3。
今季のアイデア賞というべきプロ。時計回りのCSp⇒反時計回りのFSSpとか、ニースライドからの2A、何よりも事前に録音した氷に靴を叩く音に合わせたStSqはビックリしました。これを自分で考えて作っているのがまた凄い。
ということでここからが本格的に長い記事の今季の10傑です!改めて眺めてみてやはり良いプロだなぁと思いました。
10.カタリナ・ムラゼコワ/ダニエル・ムラゼク組
FD:マラゲーニャ
ベスト演技:世界選手権
2023年に世界ジュニアチャンピオンになったシーズンに強烈な印象を残しました。
この組は兄妹カップルならではのユニゾンを持ちながら、これでもかというほどのスピードを持つスケーティングが大きな特徴ですが、そのスピードに乗ったうえで体の動きがダイナミックでありながら細かな切れ味も鋭いという特徴も持っています。
私が初めてこの組として大きく認識したのはやはり2022年JGPのアルゼンチンタンゴのシーズンです。初めて見た時の強烈な印象は今でも覚えています。その初めて見た時の印象を蘇らせてくれるのがこのFDのマラゲーニャであると言えると思います。
最初に挨拶代わりにド派手なコレオスピン。お兄さんが両腕をビシッと妹さんに添えてマラゲーニャの3拍子が始まります。
ワンフットターンでは妹さんが長い裾のスカートを掴んで振り回したり、ツイズルではスカートが捲り上がって遠心力で大きくヒラヒラと見せています。そもそもスケートで長いスカートは相当自信がないと難しいと思いますが、マラゲーニャの曲調を上手く使って視覚的にも派手さを演出しています。そのスカートに振り回されない制御力が凄いです。
終盤にボーカルが入ったパートではダンススピンでは曲に合わせてどこか淡々とこなした後に、締めのコレオステップでは持ち味の身のこなしの豪快さと切れ味の良さが存分に表れた動きになっています。
持ち味の猛スピードスケーティング&豪快かつ切れ味の良い身のこなし、それがオケバージョンのマラゲーニャに非常に似つかわしく、そのタイミングで自国開催の世界選手権で素晴らしい演技が出ました。
9.アナスタシア・メチョルキナ/ルカ・ベルラワ組
SP:ボレロ
ベスト演技:世界選手権
※動画はトリアレティトロフィーのものです。
通称倒立ボレロ。スタートポーズで女性が倒立するところを見て観客が少し沸くなんて光景が今季何回か見られました。
倒立で始まる意図は個人的には全く分かりませんでしたが、最初の3Sは飛距離、幅、高さの3拍子が揃ってかつ着氷がギターの音にハマるというものです。その後の世界一上手いツイストリフトを含めて挨拶代わりに最高品質のエレメンツを2つ見せてからボレロの3拍子が始まります。
スロー3Fを着氷してからのスリーターンで大きく体を動かしそこから2人がホールドして女性の両腕を綺麗に上げる振付は緻密かつ工夫が多い見せ方、リバースラッソーリフトは持ち上げてから曲のテンポに合わせて男性が回転をします。圧巻はやはりStSqで3拍子にカーブを合わせつつ、ストップ動作のところで2人が同時に手を叩くところが絶妙なアクセントです。
もともとエレメンツがかなり上手なペアでしたが、2分半の間に入れる工夫の質がかなり上がったことがよく確認できるプログラムだったと思います。音源がアコースティックギターだったというのもミソでしたね。
8.ゾーエ・ビアンキ/ダニイル・バシレ組
FD:月光
ベスト演技:世界ジュニア
※動画はJGPアブダビ大会のものです。
ここ最近イタリアのアイスダンスから何故か時々現れる、妙なまでに滑りのユニゾンが完璧なカップルのうちのひと組だと思います。しかもこの組はそれぞれ昨季まで別の人と組んでいて、今季で組んで1年目です。それでここまでの相性の良さが出るとは。
その良さが存分に出ているのが最初のワンフットターンです。もう見たらすぐに分かりますが、スピード、距離、体の倒し方が同じなんですよね。最後にツイズルをしてからフリーレッグを上げる方法まで同じです。
さすがにダイアゴナルステップのホールドチェンジはまだ少しシンプルめではありますが、これを音数が少ない月光の1楽章で実施しているのがミソであり、今だからこそ出てくる演技だと思います。
ダンススピンから月光の3楽章のパートになり、こちらはスケートのスピードとピアノの16分音符のスピード感をよく混ぜ合わせながら、時々出てくるアクセントには腕で表すなり、アシストジャンプで表すなり、リフトの降ろし方で表すなど、随所に大きく見せています。
音数が少ない月光の1楽章と逆に音数が多い月光の3楽章の特徴に対して、今出来る範囲の技を効果的に配置して、滑りのスピードとユニゾンはそのまんま出すというところが大変面白いと感じました。
7.ウーナ・ブラウン/ゲージ・ブラウン組
FD:ゴッドファーザー
ベスト演技:全米選手権
今季のアメリカアイスダンスで大躍進したカップルその1です。
2022年の世界ジュニアで優勝してそこからシニアに参戦し、4年間で地道に力を付けてきてその4年目で四大陸選手権銅メダルとなりました。その躍進に大きく貢献したプログラムです。
ゴッドファーザーのサントラから4曲使ったなかなか忙しいプログラムではありますが、4曲それぞれで特異的な動きがあるのが特徴であると言えます。
まずは厳かな4拍子の曲。ここではワンフットターンでブラケットを実施した後にティンパニの音に合わせてポップをしつつフリーレッグを上げる。片足で滑り続ける動きの中でこのコントロールは見事です。
続いてちょっと物悲しいワルツパート。ここでハイドロのような姿勢でスケーティングレッグ側をスライドさせつつ、男性が回転しながら滑り続けるコレオスライド。なかなか見たことがない特徴だと思います。サーペンタインステップを見てると滑りながらのホールドチェンジもとても滑らかです。
さらに曲が変わってマーチのリズムに。その曲に変わってからダンススピンの姿勢変更で曲調をよく表します。そこからのコレオステップはコミカルな振付のオンパレードです。男女がお互い斜めになってもたれる動き、女性が男性を一本背負いする動き、数多の複雑な動きをマーチのリズムにピッタシ合わせます。ツイズルの回転も曲のリズムによく合わせようとしてます。
終盤にメインテーマ。男性がほぼスライドのような低い姿勢で、女性が前転して大きく足を上げる物凄いストレートラインリフト、そして女性を肩車するローテーショナルリフトからコレオスピンを実施し、最後は男性が首を切られる振付でフィニッシュです。
各曲各パートに面白い振付を散りばめ、それを氷の上でよく滑りながら上手い姿勢で実施するというところが面白いプログラムだと思いました。
6.エミリア・ジンガス/ヴァディム・コレスニク組
RD:Bell Biv DeVoeメドレー
ベスト演技:世界選手権
今季のアメリカアイスダンスで大躍進したカップルその2です。
男性は2020年の世界ジュニアに別の女性とのカップルで優勝しましたが、その後解散。一方女性はアメリカでスケートを始めてから2020年〜2022年はキプロス代表でシングルで参戦していて、2021年には世界選手権にも出場しています。
そこから2022-23シーズンから2人で組んでこれまた地道に力を付けてきました。昨季は全米4位から四大陸選手権に出場。この時私は始めて現地で見たのですが、スケーティングスキルそのものより上半身の動きのかなりの切れ味に惹かれたものです。
一方、RDの今季のルールは90年代の曲かつPStではBPM120のテンポが指定されていてプログラムの特徴付けが厳しく、難易度が高いテーマであるといえます。そのテーマの中でこれだけの完成度のプログラムを提示したのは凄いと思います。
ジンコレのこのプロは、特徴的な上半身の素早い動きがいきなり現れ、ミッドラインステップではターンの切れ味や正確さも出ています。
その後に出てくるツイズルがピッタリテンポに合っています。回転の速度が偶然合っているとかではなく、半回転ごとに1回転ごとに上半身を動かしているところを見ると意図的に合わせているのが分かります。
最後のChRSでは観客を煽る振り付けから腕をビッシリ動かしつつ、氷の上でありながら全然ブレがない滑りを見せます。
持ち味の身のこなしを遺憾無く見せながら、シーズン終盤になって正確なエッジワークと安定したスピードが付いてきて、ミラノ五輪5位、世界選手権3位という成績を収めました。まだ若いカップルなのでこの後どんな活躍を見せるのかとても楽しみです。
5.マリア・パヴロワ/アレクセイ・スヴィアチェンコ組
FS:Without you
ベスト演技:ミラノ五輪
※動画は4国選手権のものです。
2022年にペアを結成してハンガリー代表になり、そのシーズンである2023年にさいたまの世界選手権に出場していきなり7位という成績を収めました。
結成当初からしばらくはエレメンツを絶対に失敗しないペアという認識で、あまりプログラムの細かな作りに関しては興味がないのかな?と感じていましたが、この印象が今季一気に変わりました。SPのマイケルジャクソンも良いプロですが、FSのこのプログラムはまさにリショーマジック大成功と言えると思います。
このプログラムは曲のテンポが4分間ほぼ変わらない編集ですが、一定のテンポに対して必ず振付、ターン、クロスなどのムーブメントを入れているくらい密度が濃い作りになっています。
例えば最初はピアノだけの音でスケールを大きく取ったムーブメント⇒バイオリンの音が入ってくると同時にバッククロス等のフットワークを巧みに取り入れ、音の変化と同時にツイストリフトを入れ、さらに音が変わってランディング後に男性が女性の足を持って大きく滑り続け…という大変緻密な作りとなっています。
その緻密な作りはずっと保ちつつ、ボーカルが盛り上がるところでは代名詞の前向きのリバースラッソーリフトで流れ良く、なおかつ回転動作、ポジション変更、難しいランディングを曲のテンポに当てはめて決めます。
他にもソロジャンプ、スロージャンプ、リフト、コレオシークエンス等いろんな技やその間に入れるムーブメントが逐一曲にハマっているところが大変魅力的です。
大きなスケールの技が多いペアの中でここまでテンポに正確に細かい技を含めて緻密に作られたプログラムもなかなかなく、なおかつ曲の緩急に対するエレメンツの配置が的確過ぎます。
絶対にエレメンツ失敗しない組である特徴を思う存分取り入れつつ、これまで無かったプログラムの緻密さ、そしてスケーティングのスケールがもたらされたというところがとても良いと感じました。元来の特徴に新しい味付けを入れて大成功したパターンだと思います。それがオリンピックの舞台で出せたところがまた素晴らしかった。
4.ニーナ・ペトロキナ選手
SP:Criminal Tango
ベスト演技:世界選手権
このプログラムは本当に素晴らしいです!何が素晴らしいかというと編集がほぼない約2分50秒の曲を丸々使っている点、そしてタンゴにおけるバイオリンの音ならではのアクセント的な振付の配置がちょうど良いところに入ってくる点です。
振付はマークピレーさん。一部界隈にはとても刺さる振付師さんですが私も大好きな振付師さんです。上記で述べたアクセント的な振付を散りばめるのがとても得意な振付師さんだと思います。そしてそれを実行するのが大きく細かい動きを得意とするペトロキナさん。ベストと言って差し支えないマッチングではないでしょうか。(いやしかしもっとベストマッチングはあのドイツペアでしょうか🤔)
このプログラムもやはりSPで滑っている間に細かい音を技や振付で取り続けていて、その中に入れるエレメンツのタイミングもバッチリです。全部話すと記事がパンクするので是非とも2拍取りながらご確認を。
このプログラムならではの特徴と言うと、下記のような感じでしょうか。
・序盤のバイオリンのグリッサンドに合わせたフリーレッグの振り上げ
・2A直後に首をクイッと上げるところ
・その後のバイオリンが3連符の連続のところで細かく足捌きをするところ
・3F着氷から曲のダイナミクスが1段階大きくなってフライングキャメルスピンをしながら手を動かすところ
記事を書いてるうちにデザインだけ考えたらこのプログラムもう少し上位に上げたいなぁという気持ちもありましたが、ユーロ選手権ではエレメンツは完璧に決めつつ上記の緻密さという点ではもう1つだったところ、逆に世界選手権では緻密さではほぼ完璧だったけど3Lz+3Tが回転不足になってしまったところ、これらが両方とも決まってたら…という惜しい点がどうしても気になってしまいました。昨今話題になってる「技術と表現の両立という」やつですが、個人的にはこのあたりが議論になって盛り上がって欲しい思いもあります。
3.山下真瑚選手
FS:ラヴィアンローズ
ベスト演技:全部🤗🤗🤗
※動画は全日本選手権のものです。
もう真瑚ちゃんが思う存分持ち味のノビノビとしたデカデカスケーティングが活かされた最高のプログラムだね🤗🤗🤗うんうん🤗🤗🤗
…というひと言ではとても片付けられないプログラムかなと思います。
この音源のラヴィアンローズで真っ先に思い出したのは2018-19シーズンのペンジンのFSです。曲のスケールから考えて真瑚ちゃんが絶対に似合うと思うしいつか滑って欲しいと思ったのが、このタイミングで叶いました。
なおかつ、真瑚ちゃんというとノビノビとしたデカデカスケーティングの中に、細かなテンポを散りばめる緻密さを持ち合わせたスケーターだと思います。本人のインタビューで「この曲は裏にはこんなリズムが含まれているんだよ」という趣旨の言葉が出てきたことがありますが、それが演技という形でありありと表れているかなと思います。
この手の記事で私が毎回着目しているのが各技と曲のタイミングの使い方です。真瑚ちゃんの凄いところはほぼ毎回ジャンプ構成が変わっているにも関わらず、毎回何かしらの形で音に合わせているところです。ラヴィアンローズが滑りやすいテンポというのもあるとは思いますが、適応力の高さはさすがだなぁと思います。
冒頭の首を大きく曲線的に動かす振付、スピン2つ終わってからの特徴的な振付は本人はもちろんのこと、後輩の松生理乃さんもかなり気に入ってそうな様子です。
StSqはいつもの深すぎるエッジワークに艷やかなボーカルの特徴を活かした滑らかだけどテンポには正確なターンです。毎回よく倒れないなぁと思いながら、しかし決してヒヤヒヤしながら見るわけではない、何か包み込むような安心感を覚えさせてくれるものです。
そして最後のコレオシークエンスでは、雄大かつ幸せそうな表情のイナバウアーから、とても深いエッジワークのアウトサイドイーグルで静かに締めるところ…真瑚ちゃんのファンからしたらこんなに素晴らしい締め方をしてくれてありがとうございますという思いにさせてくれるものだと思います。
振付はお馴染みの鈴木明子さん。真瑚ちゃんに「見ている人に幸せの花を咲かせる」という趣旨の思いで作ったプログラムですが、それが本人の中で「花咲かばあさん」という言葉になったのがまた真瑚ちゃんらしいところですね🤗🤗🤗
この記事を書く時に個人的なベスト演技はこれ!って思いを馳せているのですが、真瑚ちゃんのラヴィアンローズは毎回見る度に、エレメンツが決まる決まらないに関わらず良さが思う存分出てきたなぁと思いました。恐らく滑っている本人がとても気に入っているプログラムなのではないかと思います。
2.ロレンス・フルニエ=ボードリー/ギョーム・シゼロン組
FD:The Whale
ベスト演技:世界選手権
言わずとしれた平昌五輪銀メダリスト⇒北京五輪金メダリストのギョームシゼロンさんが、ロロちゃんと結成して1年目、いきなりミラノ五輪金メダリストに導いたプログラムです。
ギョームシゼロンさんの持ち味の移動距離と滑らかさが群を抜いているスケーティングにロロちゃんがどのように付いていくのかという所を注視していましたが、結果的にシーズンが進むにつれてどんどん馴染んでいく様子がこのプログラムから分かりました。
まずは低音が厳かに鳴る中で右足バックアウトの滑りでフリーレッグを大きく揃えて上げるムーブメントからジャンプして挨拶代わりのツイズル、その後に低音のサイレンみたいなシンセサイザーの音に合わせて移動距離と滑らかさが異様なワンフットターン⇒ローテーショナルリフトという流れになります。
ダンススピンを挟んで曲はメインテーマに変わります。ここからがこのプロの真骨頂だと思います。
最初に12拍、静かに滑らかにビートに合わせて上半身を滑らかに動かしつつ助走に…
音が少し強くなってから、次の4拍で代名詞の低い姿勢での反時計回りのカーブリフト、さらに次の4拍で低い姿勢を保ったまま時計回りのカーブリフトに。それが終わると次の8拍で女性のツイズルを挟みつつ次の助走へ。
さらに音が強くなってサーペンタインステップへ。このサーペンタインステップを見ると、2人がそれぞれターンをしている箇所でも距離の保ち方が完璧です。特に最初に女性ブラケット&男性モホークを同時に実施するところ、中盤の女性ロッカー&男性チョクトーを同時に実施するところ、終盤に女性がツイズルをしてから男性が回り込みその先で男性がカウンターをしつつ女性のホールドに繋げるところ。サーペンタインの軌道でカーブの切り替わりが多く距離感を保つのが難しいパートなはずなのに、それを感じさせない、2人がホールドをするのに必ず無理がない範囲にいて、持ち前の滑らかさをさらに増強させているものになっています。
さらにそこからアシストジャンプを挟んでからさらに曲が強くなるところでのコレオステップ。ここも体の動きは必ず1拍ずつビートを捉えていることは伝わりつつ、滑らかでありながら緩急は大きく付けているものに。
最後に曲のフィニッシュでこれまでe-mollだった所にCes-durの調になったところで本当に静かに体が持ち上がった後に女性が男性にもたれかかるような姿勢のコレオリフトで締めます。
2人とも世界的に見てもトップクラスのアイスダンサーでありながら、やはり組んで1年目ということでシーズン前半は試行錯誤を繰り返している様子でしたが、シーズン後半になると慣れてきたのか一気に完成度を上げてきて五輪&世界選手権金メダルという結果になりました。フィギュアスケートにおけるアイスダンスでは何が大事なのかを改めて考えさせられるという意味でも素晴らしいプログラムだと感じました。
1.青木祐奈選手
FS:ララランド
ベスト演技:全日本選手権&四大陸選手権
これはもう私だけでなく皆さん好きだと思います!
今季多くの試合を見てきた中で私の中で一番強烈に印象に残っているのが全日本選手権の青木さんのFSです。演技を見終わった後に全身の血流が良くなったようなそんな感覚すら覚えました。
青木さんと言えばトレースのブレが少ないカーブと胴回りを中心とした上半身のブレの少ない動きが最大の特徴だと思いますが、このララランドはその組み合わせ方と実施の仕方が至高だと思います。
冒頭に左足のフォアアウトのループターンから一旦ストップした後に左足のバックアウトで滑らかに滑るところ、そこから上半身を反らせたところと同時に両足のステップのフットワークの軽さ、右足のバックインでメロディを収めた後に左足のバッククロスでメロディが展開しつつ助走でスピードを上げ、そしてピアノのGisの音と同時にトウを突いて代名詞の3Lz+3Lo!
そこから今度はピアノの右手の細かい粒に合わせてターンをしてから3Tをしてそのまま右足でツイズル。
曲が一気に変わって綺麗な姿勢のまま常にリズミカルに踊り続けつつスピードを保ち、3Sを着氷してすぐにからスネークの動きで踊り続けます。2Aの着氷からFCSpのバタフライ、チェンジエッジの実施の仕方やそのコントロールも素晴らしく、その後一度曲が穏やかになります。
スローパートに差し掛かってから明確に技と言えるムーブはスパイラルと途中の小ジャンプだけなのにコレオシークエンスであると分かるような美しいムーブメントが展開されます。これを「美しい」と感じる根拠としてはスピードを保ったまま曲線半径が途中で変わることがない綺麗なトレースの滑りと、その間の上半身の動きにバランスを取ろうとするような無駄な動きが一切見えないところにあるかなと思います。
そこから2A+1Eu+3Fを決めてから右足バックインで滑りながら両手を前に差し出しながら滑り、リズミカルな3Lz+2T、そして滑らかなダブルスリーターンから3Fを決めて、これまたサイド⇒バックの姿勢変更や両手を上にサッと上げてからヘアカッターをするLSpへ。
そして極めつけはやはりStSqです。ターンをしながらこれでもかと大きく体を動かし、それが全部意図通りに、なおかつ見ている人も演じている本人も絶対に楽しんでいるのが分かる実施です。持ち味のボディコントロールが最大限に発揮されています。
最後はやはりレベル要件を上手く使ったCCoSpでフィニッシュ!
2017年以降幾多のララランドのプログラムを見てきましたが、その中でもベストと言って過言ではないプログラムだと思います。
シングルの競技でありながらアイスダンスのようなトレースが綺麗でなおかつその全てが前後の技に何かしらの意味を付けている動き、その中にシングルじゃないと出来ないような細かいフットワーク、さらに青木さんならではの体の切れ味、そしてそこから生まれた青木さんならではの3Lz+3Loと2A+1Eu+3Fを含んだジャンプ、これほど青木さんにしか出来ないというプログラムも無いのではと思います。
昨季アリサリウさんのマッカーサーパークをベストプロに選んだ時と同様の意見ではありますが、やはり正確なエッジワークから生まれる自分をプレゼンする能力は、このフィギュアスケートにおける競技は極めて大事な要素であると思います。それを再び考えさせてくれるプログラムだと個人的に感じました。
ということで今回の五輪シーズンのベストプロはこんな感じです。五輪シーズンで自分の良さを出そうとするとか結果を出そうとするというプログラムが多かった中で、やはりシーズン節目の各国選手権、世界選手権といった大きな試合でそのプログラムの良さを全部出し切った完成度の高い演技から選んだかなと個人的には感じています。
この中で記載していないようなプログラムでも「このカーブは次のこの動きに対してどのように繋げるのかな」とか「今の動きはどこまで意図通りに出来た動きなのかな」とか、とにかく1つ1つの動きに対してとことん拘ってフィギュアスケートを観戦しています。
今後もやはり1つ1つのエレメンツの成否はもちろん大事にしつつ、もっとミクロな1つ1つのカーブやムーブメントを大事にし、それがプログラム全体というマクロ的にどの様な役割を果たしているのかというところも含めて大事に見たいと思います。
それを総括するという意味でやはり自分の中で一番大切な記事です。
ということで個人的なシーズンの締めくくりとなりました。本当にお疲れ様でした。