毎年恒例の全日本選手権観戦記録です。

たくさん人がいろんな感触を抱いておられますが、私はとにかく淡々と振り返って分析してみます。

まずは男子シングル編となります。


◯全体概要


上位選手にミスが相次ぎ昨季とは異なる意味で異様な空気が漂うカテゴリーとなりました。

その一方でSP通過ラインは60点を超えて、FSでは上位18人が130点を超える(※昨季は上位16)ということもあり、レベルが底上げされているという傾向が変わったわけではありません。

全体的にジャンプのスキルやスケートの伸びる距離はここ3で年々進化しているというところから、このようなレベルの底上げがされていると考えております。


今大会ミスが相次いだのは、我々ファンからは計り知れない選手の中のプレッシャーというのは大きかったとは思います。ただでさえ緊張する試合なうえに選手の力関係も拮抗していて「俺が抜け出す」という気持ちになるのも理解できます。

ただ、原因をそれだけで片づけてしまうと今後同じような場面になった時にまた似たようなことが起こってしまうリスクが減らないとも思います。

まずは個々の選手の演技を淡々と振り返ってみて、その後に今回の試合で起こったことの原因を掘り下げてみようと思います。

 


30位:小林隼選手(SP45.96

全日本初出場です。思い切りが良く、曲に上手く合わせることが出来たらスケール大きく見せられる選手です。多少体の動きにブレがあっても情感を込めているのが分かる動きをすることが出来るのが特徴です。

近畿ブロック⇒西日本ではそれが心地よくハマった演技でしたが、全日本ではいつもと違う規模の箱、観客だったこともあり少し動きがコントロール出来なかったような演技となりました。その意味では力を発揮しきれなかったかもしれません。

 

29位:誉田知己選手(SP50.14

昨季シニアに上がって一気にスケートのスケールが伸びて見応えがかなり上がった選手だと思います。

今季はショートのミマンケライがなかなか上手くハマらず、それが全日本にも出てしまった形ではありました。ただ、ジャンプがハマらなかっただけで曲の表現をするために上半身や足元で間を取っているのも伝わりました。是非とも中京大学の同期三人娘と一緒に頑張ってくださいませ


28位:森遼人選手(SP:50.32)

今季3Aがかなり安定してきて上位に食い込むことが多くなった選手です。今大会はどうも足に故障を抱えた状況だったみたいで、思うような演技にはならなかったです。上半身の動き自体はとても力強くていつも通りなのかなと思っていました。来年どうか万全の状態で見られますように。


27位:戸田晴登選手(SP:53.34)

東日本選手権では武器の4Sを着氷して全日本選手権に出場したと言っても過言ではないと思います。またテンポが一定でビートが強い曲に対して、氷の上とは思えない踊りの技術を全日本選手権では見られました。得意なはずのサルコウからコンボが付けられずこれがFS進出の上では致命傷になってしまいました。


26位:松岡隼矢選手(SP:53.48)

全日本に進出するために九州に戻ってきたと言っても差し支えないです

中四国九州⇒西日本とジャンプに苦しみ続けましたが、すべりのバランスやカーブの綺麗さが今季よく見えて全日本にたどり着きました。その全日本では途中まではその特徴がよく表れていたのですが、シットスピン終わってからの繋ぎから制御が利かなくなってしまった実施でした。何かが狂ってしまうとそれを落ち着いて取り戻すのが難しかったのかなと思いました。


25位:北村凌大選手(SP:58.91)

この競技を見ているとエレメンツの成否に一番目が行きがちですが、個人的にはその技をどのように「調整」するかが最も大事であると考えます。その点では北村君のSPのパフォーマンスはとても調整能力に長けていると感じました。ジャンプの着氷でミスをした後に振付やスピン、ターンが曲に遅れている様子が見られませんでした。基礎点の大きいジャンプエレメンツ2つミスをしてFS進出まであと一歩まで来たのはその良さが出たからこそだと思います。


24位:山田琉伸選手

(SP24位:60.20、FS24位:86.29、TS:146.49)

FSまで進出してせっかくならということで3A2本に挑んできました。残念ながら2本とも失敗してしまい、その後の演技でも早く疲れが出てなかなか壮絶な演技となってしまいました。改めてSP通過した後のFSの難しさというものを感じました。


23位:菊地竜生選手

(SP22位:62.77、FS23位:106.52、TS:169.29)

満を持しての全日本参戦です。そしてその舞台で3Aを見事に決めました。全体的に曲に対する合わせと制御という面に苦しみ、それが原因で演技全体として輪郭がぼんやりとしてしまい点数に繋がらなかった面はあります。スケートそのものの伸びや動きの良さはジュニア時代から定評があるので、あとはそれらをどのように組み合わせるかなのかなと思いました。


22位:吉岡希選手

(SP21位:63.76、FS22位:117.53、TS:181.29)

昨季見られた鉄人のようなスケーティングが今大会見られず、前情報が無い中でも「何か大きな怪我をしているな…」というのが伝わってくる演技でした。

本人の中でとても悔しい面があると思いますが、それでも4Tや3Aはある程度のところまで回る鉄人のようなメンタルとジャンプ技術は凄かったです。佐々木晴也くんプロデュース(?)のタオルとTシャツを力にしつつ、本当にどうかお大事に…


21位:植村駿選手

(SP23位:62.47、FS20位:123.50、TS:185.97)

ジュニア男子の中四国九州ブロックはサイレンみたいに大変にぎやかですが、予選会は大変熾烈です。

植村くんは昨季中四国九州ブロックから西日本に進めなかった選手です。それを考えると今年シニアの全日本まで進んだのがいかに大躍進か。今季3Aを手に入れただけではなく、スケートのバランスもめちゃめちゃ良くなり、持ち味の腕を大きく体を大きく、そしてそれらを滑らかに繋げる動きが一気に映えるようになりました

今大会は一気に全日本まで来たことで本番緊張してしまったのか危うくSP落ちという位置になってしまいましたが、特に大きくインパクトを残した選手の一人ではないかなと思います。


20位:木科雄登選手

(SP18位:68.84、FS21位:122.21、TS:191.05)

「おれかっけぇ」でお馴染みなくらいカッコイイ木科くんですが、実はクラシック系(チャイコン、クロイツェル、ラプソディ・イン・ブルーなど)の選曲が多いです。そして今季はロンカプ。力強いジャンプの中に柔らかい身のこなしをすることが得意な木科くんですが、その両立はとても大変だと思います。今大会その両立という点では苦しんでしまいました。力強いエレメンツに柔らかい身のこなしはそれが噛み合うと良い相乗効果を生み出すと思います。それが昨季プリマヴェーラに表れていました。


19位:蛯原大弥選手

(SP20位:64.66、FS19位:128.15、TS:192.81)

今季は3Aがなかなか回転しきれなかったり、リンクを大きく使えきれなかったり、それが原因で見た目のミスが少ないにも関わらず点が伸びないということが多く見られました。今大会もそれが出てしまったという風に見えました。その中でも1個1個の動きを確かめるように大切に丁寧に(丁寧過ぎたという感もありましたが)動こうとしていたところは印象的でした。


18位:朝賀俊太朗選手

(SP19位:67.58、FS18位:131.75、TS:199.33)

これまで力がありながら全日本ジュニアで力を発揮し切れずに全日本選手権に推薦される順位に入れないシーズンが続いた中で、今季満を持して全日本出場となりました。

SPのThe fire withinではまさに炎のようにメラメラと動きまくり、FSのブエノスアイレスでは静のStSqと動のChSqの対比を上手く演じ分けました。ようやく出場出来た全日本でもらしさ全開の演技というほかありません。新人賞おめでとうございます。


17位:垣内珀琉選手

(SP17位:70.52、FS15位:132.75、TS:203.27)

今季途中で大きな怪我を負ってしまい、JGPが終わって以降出力を落としたような実施が続いていました。その出力が落ちてしまった状況下で力を入れなくてもよく伸びるスケーティングが徐々に得られ、全日本ではこれまで見たことがないくらいエフォートレスな演技になりました

怪我してしまったこと自体は気の毒でしたが、まさに怪我の功名というものだったと思います。FSではピアノや弦楽器によく合わせて、エレメンツと間のスケーティングで流れが途切れない演技が完成されたような感じになりました。


16位:大島すたぁ☆光翔選手

(SP12位:74.37、FS16位:132.62、TS:206.99)

長年赤く我々を楽しませてくれて赤かったすたぁさんも遂に大学4年生です。FSのデスペラードはコーチのお父様に贈るといっても過言ではないプログラムだと思いました。全日本という大きな舞台で悔いなく演じたかったとは思いますが、途中くらいから気持ちが入りすぎたか焦ってしまったか、いずれにしてもらしくないミスが続いてしまったことは悔やまれると思います。いつもは明るくリンクサイドに引き上げたすたぁさんがお父様に迎えられて泣いている姿は胸を打ちました。。


15位:杉山匠海タクーシャ選手

(SP16位:72.93、FS13位:135.82、TS:208.75)

今年も全日本選手権と全露選手権が被ってしまい、この時期に一番忙しいスケーターです。

いつも通りエレメンツの入りや配置、両手を上げる工夫でのオタ活は欠かせません。それはもちろんなのですが今大会のタクーシャくんは常に何かしらの音に合わせる動きの輪郭がいつもよりはっきりしていました。美しいスパイラルではもちろんですが、細かいターンやちょっとした振り付けもよく制御されて、SPのFSも見た目にはノーミスという演技が出来ました。

余談ですが、国立大学の理学部という点でもとても興味深い人材です。どの分野の勉強しているのかな?


14位:高橋星名選手

(SP8位:77.87、FS17位:131.92、TS:209.79)

この1年で一気に体格が大きくなりそこから得られるスケートの効率も大きくアップしました。元々持っている所作の上手さにスピードとリンクカバーが加わったらそりゃ今季大躍進します。どちらのプログラムもしっかり曲に合わせて腕を配置したり、その腕も指先まで綺麗に配置して動かしていました

演技終わった後のお手振りは4方向しっかりやってくれました!体格変わっても子犬みたいで可愛い。


13位:片伊勢武アミン選手

(SP10位:75.62、FS11位:137.16、TS:212.78)

シーズン序盤は全体的に特にキャメルスピンが苦しそうでしたが、次第に調子を上げて全日本では今季一番いい演技が見られました。アミンくんの肘を上手く曲げて指先の関節まで曲げて見せる方法というのが本当にどんな仕組みなのか分からないです。真似しようと思ってもできません


15位~13位までたまたま声フワフワな3人が並びました。みんな所作がそれぞれに独特で綺麗です。


12位:西野太翔選手

(SP9位:77.58、FS14位:135.49、TS:213.07)

今大会何回か近くでお見掛けしましたが、見るたびにちっちゃくて可愛いと思ってしまいました

リンクの上に立つとそれを感じさせない大きなスケーティングに綺麗なジャンプに力強いターンです。それぞれの技術を見ているとまだジュニア2年目とは思えません。その一方で、FSになるとそれぞれの技術が個々に出てきてしまう感じがしました。これらが組み合わさるともっと飛躍しそうなポテンシャルが感じられます。まだ中学生でこれからパワーもついてくるでしょうし、今は本当に焦らず焦らず…


11位:中村俊介選手

(SP13位:73.96、FS10位:140.29、TS:214.25)

昨季の世界ジュニアくらいからスケートの伸びが後半まで持続されるようになったなぁと思いました。今まで明らかに苦手そうなスピンがFSで最後に2つ並んでも質が落ちないようになっていて、その意味での安定感が身についた感じがします。元々踊りのスキルには定評がありますし、伸びるスケートの上でもその良さが維持されているところが良いなぁと感じました。


10位:山本草太選手

(SP7位:80.10、FS12位:136.99、TS:217.09)

草太くんはジャンプの成否が本当に分かりやすく「助走から曲のテンポに正確に合わせていたら成功」、「そうでなかったら失敗」という傾向がとても大きい選手です。去年の全日本では4本目の3Aまで正確に合わせていたから成功が連続して表彰台、今年の全日本では2本目の4Sの時点で曲に遅れていて失敗が連続したという結果になりました。序盤の時点で曲を掴めず(すなわちスケートの制御が出来ず)という感じだったので、やはりプレッシャーというのは少なからずあったと思います。せめて2本目のジャンプの転倒の後に次のジャンプで跳びやすいタイミングを掴みやすい本来のカーブからは入れれば良かったのでしょうが、その点でもまたスケートの制御が必要だと思います。改めて難しい競技であると感じました。


9位:島田高志郎選手

(SP15位:73.20、FS5位:150.84、TS:224.04)

SPの君の瞳に恋してるはBOIで見た時点で本人が気に入っているのがとても伝わってきました。2本ジャンプを転倒してしまったためとても悔しさが残るでしょうが、それはそれとして振付は大切に演じ切っているように見えました。

FSでは「挑戦して潔く散る」という覚悟で4Lzに挑みました。そのジャンプとその次のジャンプこそ失敗はしてしまったものの、その後のピアノだけの死の舞踏に対するカクカクした身のこなしやエッジ捌きは巧みであり、ジャンプの失敗を忘れさせてくれるような完成度でした。2シーズン掛けて難しいプログラムに向き合ってここまで仕上げてきたことが本当に良かったと感じました。ジャンプのミスの割りにこの順位に入ってきたのはミスしたところ以外も自分のやりたいように緻密に演じた(そして実際にPRの項目も8点近くまで出した)ところは大きいと思います。


8位:三浦佳生選手

(SP4位:88.87、FS9位:141.22、TS:230.09)

今大会…というより今季一番心配だった選手です。負けん気の強さが佳生くんの良いところではありますが、それが出過ぎると演技が制御できなくなるという形で表れてしまうリスクがあるという選手でもあります。さらに今季は常に古傷の痛みとの調整を強いられ、難しい調整をしまくったのではないかと思っております。その不安が全日本では顔に表れてしまい、持ち味のスケーティングスキルでスピードはいつも通り出したものの制御が利いていなかったという実施になってしまいました。

とはいえSPでは元々の持ち味の大きな身のこなしがそれぞれシームレスに繋がって滑らかになってきたという良さも見えました。FSではその良くなったところもあまり見えなかったです。これがSPと同じような質で実施して8点台出せれば総得点で2~3点くらいは上がります(今大会の点差を見るとこの2~3点はやはり意外と重要です)。今季のシェルブールの雨傘を選んだ理由が身のこなしの制御だと思っていたので、それが出ていれば…と思わずにはいられませんでした。


7位:佐藤駿選手

(SP6位:81.90、FS7位:148.90、TS:230.80)

駿くんも今大会は顔に不安が表れているような感じでした。本当にプレッシャーだったと思います。

いろんなファンがお話しているように、この2シーズンでスケートの伸びとか身のこなしの綺麗さがどんどんと付いて来ているのが分かります。そこに持ち味の回転軸が細いジャンプが加わるとこの2年の躍進も頷けるところです。

ただ、その伸びるスケーティングとジャンプは、それぞれでは上手だけどプログラムの中でその2点が分離していないか…?というのが気になっていました。具体例を挙げると、FSの「4Lzの前のカーブやその伸び方および上半身のポジションは綺麗になった」と「練習で跳ぶ4Lz単体」は良いのですが、その2つが噛み合っているか、上手く組み合わさっているか、自分の中に馴染んでいるのかと言われると今季全体で疑問に感じていました。そのようなところが今回の全日本の中で多く表れてしまったように見えました。

FS終わった後に過呼吸になってしまうくらいの心身の状態であったことは本当にこちらから見ていても辛いと感じた一方で、エレメンツ間の動きとエレメンツが上手く嚙み合っていたらまた違う結果になっていたのかもしれないとも思いました。


6位:三宅星南選手

(SP11位:75.16、FS4位:158.33、TS:233.49)

2022年の四大陸選手権で4位になって以降、なかなかまとまった演技というのが見られていないまま3シーズン見ておりましたが、今年の全日本では久々にそのまとまった演技というのが見られました。

SPでは細かい着氷のミスにとどめ、FSでは2本目の4Sが2回転に抜けただけ。それに留まらず、星南くんの持ち味の大きく綺麗なカーブの上で上半身の動きがとてもよく制御されていたというのも良かったところであると思いました。2シーズン前にFSで演じたタイタニックに戻しましたが、このプロで本当に演じたかったことというのをかなり出せた点でとても満足感の高い演技であったと思っております。


5位:友野一希選手

(SP3位:89.72、FS8位:144.23、TS:233.95)

FSでは冒頭3本のジャンプで致命的ミスがあり、友野くんもまた持っている実力を考えると信じられない点数になってしまった選手の一人になってしまったと言えます。FSの点数が出た時のショックそうな顔が物語っていたと感じています。足の怪我の影響もあるのかStSqのターンの切れ味も今大会はもう少し…という印象でした。

そのような状況でも5位という順位を確保したのは、失敗したジャンプ以外でいつもの切れ味のある動きや振付の取りこぼしというのが見られず、常に自分の演じたいように曲に合わせてコントロールして演技をしていたという点はやはり大きいと感じています。どうかまた足が万全である状態での演技を来季見てみたいと思います。


4位:織田信成選手

(SP5位:84.53、FS6位:150.15、TS:234.68)

全体的に異様な空気に包まれた全日本の会場を今回おおいに温めてくれた選手の一人です。「スケートを楽しむ」という原点を忘れている人が多そうだな…と思っていた大会で、心からこの大会を楽しんでいるというのが織田くんの演技から本当に伝わってきました。今持っている実力から最大限にやりたいことを出し切るという姿勢は、スケートを楽しむというのに留まらず競技に臨むという点でも大事だな…と改めて思いました。試合後のインタビューで「前の現役の時からこういう気持ちで」というのが印象的で、奇しくも今大会の空気とは対照的なものとなりました。この自分のやりたいことを見せるというスタイルもそれ相応に難しい準備や自分の演技の冷静な分析の賜物なのだと思います。


3位:壷井達也選手

(SP14位:73.94、FS3位:173.37、TS:247.31)

今大会練習の時から体の動きの切れが常に良かったです。SPの本番こそ事故的に2本ジャンプの失敗がありましたが、体の動きの良さそのものは本番でも落ちていないように見えました。

FSで披露した道化師は、上半身から込めるエネルギーがいつもより大きく、最初から最後までパワフルな演技でした。NHK杯から2戦連続で大きい大会でこうした演技が披露されたということで本人の中でも自信が今後自身がついてくるのではないかと見ております

気になったことは、プログラムそのものがそこまで複雑ではなくまたリンクカバーについてもそこまで大きいとは感じなかったこと、さらに上半身の使い方も周辺選手に比べると胴のあたりが小さいようにも見えました。世界選手権出場レベルの海外選手を見ていると、細かい音取りであるにも関わらずバランス崩す場面が少なく自在に演技をしている選手が多いように見えます。この点についてはシーズン後半の試合でも注視したいと考えています。


2位:中田璃士選手(S

P2位:90.31、FS2位:173.68、TS:263.99)

本人の今年のテーマが「シニアに上がって来て欲しくないと思われる」とのことです。発想がユニークすぎると同時に、そのテーマがこの大会で思う存分出ました。

璃士くんの特徴は、スケーティングスキルそのものはもちろんですが、それを駆使して細かいターンがめちゃめちゃ多い、ストップ動作も駆使して静と動を思う存分使い分けること、だと思います。それが特に出ているのがSPのフラメンコ。12拍子で不規則なリズムの中で足元のカーブをあっちこっちに転換させたり、手拍子を見せるための上半身の姿勢にまで綺麗に見せる身のこなしも入っています。この辺りが今季の璃士くんのSPから「かっこいい」という感想が飛び交う要因であると思います。

FS終わって達成感から、ごろ寝していて可愛い。


1位:ゆまち(鍵山優真選手)

(SP1位:92.05、FS1位:205.68、TS:297.73)

これまで述べた上記の男子選手の良さを全部詰め込んで、なおかつ燃費は相変わらずとても良いスケートです。

StSqを見ていると常に滑る動作を入れているのに対し上半身で緩急を付けていて、上半身全体や足元のバランスも全く崩れないこなしです。FSになるとさらにエッジ捌きの切れ味が増し増しになります。上手いところが多すぎて逆にどこが上手いですという風に語れないレベル。

FS終わってから達成感でごろ寝していて可愛い。


◯総括

今年はミスが多かった大会でした。プレッシャーが原因であることは間違いないと思います。今大会で良い演技をした璃士くんもJGPFでの連覇というプレッシャーから普段とは違う演技になってしまったという経緯があります。

このプレッシャーが何故発生してしまったのかを演技見ながら考えていましたが、「エレメンツの準備は万全なのは伝わってくるけど、エレメンツの間の部分ではどの程度準備されているのかな…?」というところがずっと気になってしまいました。


6分間練習で単発のジャンプがよく決まるのを見ると氷の状態に問題があるようにも見えなかったですし、選手自身のコンディションが全日本の中で悪くなったというようなことも特に感じなかったです。

本番になるとそのジャンプを「いろいろな振付を入れて」「いろいろなカーブから入って」「曲に合わせて」というところから決めなければなりません。何も予備動作なしに跳ぶのと曲に合わせて振付しながら跳ぶのとでは体にかかる力が変わるはずです

今大会でミスが起きたジャンプの数々はそのほとんどがジャンプ前の動作に何かの異常が発生してから起こったもののように見えました(というより本番の演技でジャンプを失敗する原因のほとんどはこれだと思います)。


エレメンツの間の動きをもっと緻密に組み立てると、「体の動きの制御が利くようになる」というメリットが生まれ、それがジャンプの成功に繋がります。

さらにカーブをコントロールしてスケーティングスキルの評価に繋がる上半身のブレが少なくなって自分のやりたい動きが出来るようになり、より明確にプレゼン出来る曲に合わせてより楽しい演技あるいは心を込めた演技が出来るようになる、という採点面でも良いものに繋がるのではないでしょうか。


このエレメンツの間の動作に関する細かい準備が足らなかったからこそ、本番で気持ちに不安が出てしまい、それが今回の結果に繋がったのかなと思います。

選手それぞれの境遇を考えるとプレッシャーが演技に影響してしまったことは確かでしょう。ただ、今回の結果の原因をプレッシャーだけに置き過ぎてしまうと、今後も同じようなことが発生してしまうのではないかという懸念が私の中にあります。その意味でこの記事で上記のような提言をいたしました。


まず男子編は以上となります!