はーい!次は女子編です!

出場選手は35人。
上位選手の今季のシーズンベストが僅差になっていたことから、今大会も接戦になるのではないかという事前の予想がありました。

女子も気になった選手をピックアップしていきます。(各選手はTwitterで呟いているのでそちらをご参考に)


○ステプチェンコさん🇱🇻

今季JGPSの3戦目のラトビア大会で初めて拝見した選手です。同じ大会には同じラトビアからフォムチェンコワさんも出場しており、この大会を見てラトビア女子も上手い選手が複数出てきたなぁと思うようになりました。
今回FSでは残念なから唯一100点に届かなかった選手ですが、それでも7トリプルに挑んでいるという状況です。基本的なスケートの姿勢が綺麗で、フォムチェンコワさんも含めて今後注視したい選手となりました。


○イェリムちゃん🇰🇷

今大会は残念ながらジャンプが決まらず惜しい演技となってしまいましたが、今大会随一の高身長から繰り出される美しい身のこなしは目を引きました。音に対する柔らかくかつタイミングの良い反応を持つ選手でもあり、その良さは堪能することができました。


○グバノワさん🇬🇪

ようやく、ようやく、現地で見ることが出来ました。
こうしてロシアからジョージア代表となり世界選手権に出られていること自体が奇跡的なことですね。
氷の押し方や押した後のフリーレッグがとても柔らかくて無駄な力が見えない事で、全体的に柔らかい演技が生まれ、それが多くのグバノワさんファンを惹き付ける種になっているんだなぁというのがよく分かりました。

今後も日本で見られる機会があって、またあの人やあの人が現地で見られる機会があると良いなぁと思ってます。あるよな!?


○ピンザローニさん🇧🇪

まだスピードを出す時にバタついているように見えるものの、エレメンツの質がとても高い選手に見えました。このスピードの出し方の燃費がもっと良くなり、他の技に力が入れられるようになるとトップ10入りも夢ではない位置に来そうです。


○倫果ちゃん🇯🇵

昨季から今季の躍進が本当に見事なものでした。SPでは残念ながら冒頭2つミスがありましたが、そこで心が折れることなく最後までしっかりと演じようとして力強いロクサーヌになっていたことが良かったと思います。
全日本から「ミスがある中で良い演技」というのをポイントにあげていますが、倫果ちゃん自身もインタビューで似たような事を話しており、個人的にはそれがとても嬉しかったです。


○ペトロキナさん🇪🇪

今季はSP、FSともになかなかエレメンツが揃う事が叶っておりませんでしたが、その中でも少しずつ体の複雑な動きが板についてくるなど力を付けてきているのが分かりました
世界ジュニアにも出場し不本意な12位という成績で心配していたのですが、SPで会心の演技を披露しまさかのFS最終グループ入り。そのFSもミスはあったものの力を示すには十分な非常に力強い演技となりました。
エストニア女子は力のある選手が増えてきており、複数人の出場枠が出来たことはとても大事です。みんな頑張れ!!


○レポンドさん🇨🇭

華奢な体から繰り出される猛スピードスケーティングかつフリーレッグのダイナミックな動きがとても目を引きました
ジャンプに決して高さがあるタイプではなく着氷が詰まり気味になってしまい、演技全体の印象の割りに点数が伸びないところが今回は惜しかったですが、そこが克服されると個人的には210点を目指せる選手だと思っております。


○ショットさん🇩🇪

5年前の平昌五輪シーズンのシンドラーのリストのときの時点でそこそこベテランだった選手がまだ元気に競技を続けていて、しかも初めてFSで130点を取るという偉業を達成しました。ベテラン選手ならではの大きな大会へのコンディションの合わせ方もさすがです。
大観衆の前で涙ぐんでいる姿はなかなか心が打たれました。是非とも30歳で次回オリンピックに出場してカロリーナコストナーさんを目指しましょう!!


○チェヨンちゃん🇰🇷

今季はJGPSに出ていたところからいきなり4CCと世界選手権に出場し、FSのポエタで強烈なインパクトを残しました。画面で見るとデカデカジャンプを跳んでいるのですが、実は背がとても小さい選手であることに現地で見てとても驚きました。個人的に今大会最大の驚きです。
その小さい体を最大限に使うのがとても上手で、大きいスケーティングの中で実施する強い体幹が良い作用を引き起こしているように見えます。コレオの3連続バタフライはあっぱれでした。


○舞依ちゃん🇯🇵

SPはルッツトウの回転不足はあったものの、StSqでは伴奏のチェロやピアノの左手の音とともに足のターンでリズムを取り、上半身ではピアノの右手の音で大きく滑らかに演じており、理想の音取りに近いものを感じました。
脚の痛みがあったということでFSの火祭りではルッツジャンプに苦戦してStSqではいつもよりパワーが足らない悔いの残る演技内容となってしまいました。
しかし最後のChSqでは氷を押す力は残っており、スパイラルの猛スピードが映え、結果的に全選手の中でChSqの加点を多くもらいました。
冒頭の2A-3Tの功罪はなんとも判断が難しく、舞依ちゃん自身も試行錯誤をしたと思います。今後リベンジ出来ることを祈ってます。


○レヴィトさん🇺🇸

今大会の中で最も気になってた選手です。

一歩漕いだらすぐに遠くまで伸び、その伸びた中で細かく音を取るターンやキレイな姿勢のポジショニングを取ることが本当に上手です
ジャンプこそ苦手そうに見えるものの決まると着氷は綺麗で伸びもあるという不思議なジャンプの持ち主でもあります。
FSは緊張で冒頭のコンボに失敗してしまいましたが、その後の演技の出来や完成度に影響を与えさせない根性もさすがでした。
いろんな曲に挑戦して欲しいですし、そしてもう一度現地で見たい選手でもあります。


○ルナヘンさん🇧🇪

今大会SP、FSともに転倒というミスが1回ずつありましたが、SPでは71点、FSでは138点という高得点を獲得しました。
その理由がよく分かる怒涛のパワースケーティングが強烈に印象に残りました。
特にSPでは3Lz-3Tの転倒後にすぐにトップスピードに戻り、素早いターンと大きな身のこなし、かつ強いビートに乗ったリズミカルなStSqが見られました。SPにおいてはStSqで最も高い点数を得ました。
シーズンを通して調子がずっと良かったというわけではないものの、ここ毎シーズン世界選手権に必ず調子を合わせてくるという勝負強さも素晴らしかったです。

あと表彰式の国旗のくだりも素晴らしかったです!!


○ヘインちゃん🇰🇷

ジュニア時代からハキハキとした動きと伸びもリズムも細かさもあるStSqを武器にした良さを持っているなぁと思いましたが、今大会その良さを肌で感じることが出来ました。
ヘインちゃんのターンの良さは、ターンをこなす前後で全然スピードが変わらないことにあるなぁと感じました。ほとんどの選手はジャンプ前後のスピードとターンが連続するStSqでは後者になると少し落ちることになっていますが、ヘインちゃんにはそれがほとんどありません。現地で見ると凄いというか、もはや不思議な気持ちになるくらいのスケールの大きさでした。
オペラ座の怪人の編集に関しては突っ込みどころも多いなと感じましたが、それすらも吹き飛ばすようなインパクトでした。こういうタイプの「良いスケーティング」もあるんだなぁと新しい発見をした気持ちです。


○花織ちゃん🇯🇵

世界選手権2連覇はもちろんのこと、4年前のさいたまワールドのリベンジの気持ちが非常に強く見えました。だからこそSPの前半のスピンのポジションの変化に少しもたつきが見られるなど、やや硬さも見られる場面も見え隠れしました。それでも地力は圧倒的で、常に何かしら動きまくりエレメンツがほぼ飾りになっているSPはノーミスで通過しました。
FSでは直前のヘインちゃんが非常に良い演技をしたこともあり、そのプレッシャーも重なりさらに体の硬さがいつもより見られました。柔らかい曲調の中で柔らかい動きが求められる中で最初の2Aの着氷後の姿勢がどこか直線的に見え、加点はつくものの少し心配な入りから始まりました。
それでも途中までミスなく演技は進みました。ところが後半3Fの場面でまさに4年前と同じ抜けが発生。この時会場もまさに4年前と同じような空気になり、一瞬だけ会場の空気が冷えました。が、その直後に抜けたジャンプのやや危ない着氷からまさに気合いの3Tが付き、会場の空気がいきなり温まりました。
結果的にこの3Tが功を奏し、見事に連覇達成。
あの3Tの力づくでの持って行き方はなかなか見た目にも鮮烈であり、4年前のリベンジ達成ならずとも気持ちの強さは非常に感じました。


○総括

SPでは60点以上の選手が17人、FSでは100点以上の選手が23名という、近年加速しているレベルの底上げが顕著に出た大会となりました。
特にFSでは順位の入れ替えが大きくなり、女子選手全体的に実力そのものは拮抗している事が見られました。だからこそFS2番滑走のララナキちゃんから123点という点数が飛び出したりするのかなと思いました。

シーズンの中で最も大きい舞台である世界選手権となると、その空気の中で実力を惜しみなく出す強さもまた上位に名乗りを上げる重要なファクターだと思いました。

「練習は本番のように、本番は練習のように」とはよく言われますが、個人的には正直「本番は本番しか味わえない」と思っております。
どうしても普段とは違う気持ちでの演技でしょうし、もちろんミスがないことが望ましいですが、仮にミスがあってもその中で動揺せずに自分の良さを発揮する事が大事だと思いました
今大会だとSP、FSともに1回ずつ転倒したけど表彰台に乗ったルナヘンさん🇩🇪と、1Fに抜けた後に上手く3Tに持っていった花織ちゃん🇯🇵を見て殊にそう思いました。