
監督・脚本・撮影・編集・製作総指揮: キム・ギドク
キャスト:マ・ドンソク、キム・ヨンミン、イ・イギョン、チョ・ドンイン、テ・オ、アン・ジヘ
ヒューマントラストシネマ有楽町で鑑賞。
結末のややバレあり。
本作は、結末全く知らないでみるべし。
●満足度:82点
登場人物は、いろんな意味で空っぽな人ばかり。
お人好しの憎めないキャラで良くみかける名脇役、マ・ドンソクさんが主演。
今回のドンソクさんは、狂気に満ちたヤバイおっさん。
この映画は極端に情報量が少ない。
本作も韓国映画お得意の復讐劇のようには見えるんだが、
一体「誰が」「誰に」「何をされた」という基本的情報をなかなか教えてくれない。
次々と拉致を繰り返し拷問を繰り返すこの集団に大義があるのかどうかがなかなかつかめない。
掴めないままに小出しにされる情報で徐々に見えてくるのは、こいつらがプロ集団でもなく、同じレベルでこのミッションに関わっているわけでもないこと。極端に言えば「なんとなく」参加しちゃってるレベルの人もいる。
ドンソクさんだけは、各個たる信念・正義感の元に犯罪を繰り返すのだが、色んな拷問を用意し、過剰な暴力行為をするところからも、「こいつの目的は、拷問そのものなんじゃないの?」
毎回違うコスプレしたりするのは、犯人を特定されづらくするような意味もありそうだが、「遊び心」を入れる余裕があるという現れにもなっている。
以下、ネタバレ。
とは言え、こんな結末は予想していなかった。こんなんだったら話が違ってくる。
こんな時、誰(何)を相手に戦えばいいのか。誰に怒りをぶつければいいのか。
生きるために、信念のために、命令のために何をすべきなのか。何が許されるのか。
一つの殺人事件の話が、一気に普遍的な話に転換される。
それとともに濃密な思想(メッセージ)がドロドロと垂れ流されるが、それに溺れてしまうような心持ちになる。
こんな結末じゃあ、不条理に対抗すべき手立てなんてなく、お手上げじゃないか。