
監督: バイロン・ハワード / リッチ・ムーア / ジャレド・ブッシュ
キャスト:上戸彩、 森川智之、高橋茂雄、玄田哲章、三宅健太、竹内順子
TOHOシネマズ府中で鑑賞。
●満足度:75点
ウサギとキツネの凸凹コンビが、事件の真相に迫っていくサスペンスアクションコメディ。
ディズニーなんだからつまらないわけがない。間違いなく面白い。
しかし、気になる(腑に落ちない)ところも多いので、色々考えるうちに、考察というか妄想のようなものになってしまった。
※夢が壊れるかもしれないので、注意!!
○この世界の成り立ち
その昔、肉食動物は草食動物を殺しては喰らう弱肉強食の世界に生きていました。
時が経ち動物たちは進化し、仲良く共存することに成功しました。その世界がズートピア。
ってな感じで、スプラッター劇とともにお話が始まる。
大事なところ全部すっ飛ばした!
物語に余白を与えて鑑賞者に考えさせるために飛ばしたのかも知れないが「進化」の一言で片づけてしまっていい部分なのだろうか。動物が仲良くくらすことが進化であり、ユートピア(理想郷)。「弱肉強食」は、悪徳のように定義されている。これって、完全に人間目線ではないか?これを真理のように定義されるのには抵抗がある。
肉食動物は、何も快楽のためにほかの動物をとって喰らっているわけでなく「生きるため(食べるため)」にそれを行っていて、それは当然に人間だって行っていることだ。それを差別と同様の問題に置き換えるのは、人間の道徳を動物に押し付けているようで、かなり乱暴である。
そもそもこの動物たちは、何食って生きているのだろうか。
お菓子や野菜だけなのだろうか。そうなると、そもそもそんな食生活で肉食動物は生きていけるのか。
じゃあ植物はOKなのか。虫けらだったら食べてもOKなのか。
つまり、弱肉強食を悪にすることには無理があるのだ。
○与えられた理想郷
本作には人間が登場しない。また人間の愛玩動物(犬、猫)もいないし、海の動物もいない。そして、本作のタイトルは「ズートピア」。要は、動物園にいる動物縛りである。
前述した内容を踏まえて想像するに、このズートピアを作ったのは人間ではないのか。
動物の本能(ルール)を否定するものがいるとすれば人間しかいない。
人間が、動物園を進化させ「ズートピア」を作り上げ、それを観察して楽しんでいるのではなかろうか。肉食動物は少数派であるが、市長はライオンである。健全な民主主義の結果、人格者である彼が選ばれたのか。否、ズートピアの世界では「強そうなものが幅を利かせる」ことは明らか。もっとも強そうなライオンが選ばれるのはごく自然なことなのだ。
しかし、ライオン市長ですら警察に圧力をかけることができていないことから、ズートピアを動かせるレベルの権力者は存在していないという事が推察できる。こんな人種のるつぼのような国で、絶対的権力者がいないのだ。
必要に駆られて部分的なバリアフリー化は進んでも、差別を禁止するような法律が存在していないのも、これが原因であると思える。
リンカーンのような偉大な指導者が高邁な理想と演説のもとに建国したのではないことは、最後のウサギの(ありきたりかつ幼稚な)スピーチに歓声が上がった事からも分かる。彼らには、多様性を認めるという概念がないままあのズートピアを生きていたのだ。言い換えれば、あの環境を作ったのは彼ら自身ではなく、与えられたものだったのである。
以上のことからズートピアは、人間が作り上げた世界であると言える。
彼らが、自分自身で自由をつかみ取るのはこれからであり、次回作では人間どもとの全面戦争が不可避である。
○まとめ
第三者の手で理想郷(争いのない世界)を与えられてさえも、差別や偏見は決してなくならない。
それを踏まえて、次の一手が提示されていればもっと評価は上がったと思う。
子供に響けば十分かもしれないが、差別を扱った新しいディズニーアニメとしては、あんなつまらないスピーチで終わりするのは物足りない。
何より、弱肉強食と差別の話を一緒くたにして善悪決めてしまったことは、一番の減点ポイントである。
○その他
歌がダサい。「やるのよー♪」って訳は、ないでしょ。
Dream Amiって鈴木亜美かと思ったら違うのね。