にのちゃんとの妄想小説です。BLではありません。女性との絡みがあります。苦手な方はご遠慮ください。
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撮影は驚くほどうまくいった。直生は兄弟を「勇者」という設定に仕立て上げた。
公園では裸足で顔に泥を付けたまま勇ましい写真を撮った後、
自宅に戻ってからは顔を洗わせ足袋を履かせ、いわゆる通常通りの撮影までこなした。
「勇者はちゃんと儀式もしなくちゃ、って言ったんです」
すっかりその気になった兄弟は一切ぐずらず、おろおろしていた父親も、不機嫌になっていた母親も見事に笑顔で撮影を終えた。
「いい作戦だったな。助かった」
そう労うと直生はくすっと笑う。
「悠介によくこの手を使ったんです」
「なるほどね。実践済みだったのか」
こちらとしては、公園で撮った方はせいぜいL版印刷されればいいと思っていたが、兄弟も両親もそれを気に入ってくれ、通常のものに加えてそれも大きく引き伸ばして額装することになった。
撮影を終え、UBに戻り片付けて、俺たちは帰路についた。まだ日は高いものの直生が助手席で欠伸を噛み殺したのがわかった。
「寝てけよ。暑かったし疲れただろ」
「………」
ちらりと目を走らせれば、もう直生はがくんと首を折り目を閉じていた。
無理もない。大宮工業で月曜から金曜、UBで土曜。実質週休1日なんだ。俺も疲れを感じてる。
カメラマンひとり、事務員ひとりの募集には案外多くの応募があり大倉は日々面接を繰り返している。
何人か目星をつけつつあるけれど、実際に働かせるまではわからない。特にカメラマンは重労働になることも多いしなんといっても客とのコミュニケーションが大事だから気疲れもする。
長続きするとは限らないからどうしても見極めは慎重になる。俺と直生の助っ人体制がいつまで続くかは見通しがついていない。
きちんと有休も取らせないとな。そんなふうに思いながら、車を走らせた。
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「直生」
「直生。ついた」
トントン、と肩を叩かれてハッとして目を開けた。
「疲れたな」
柔らかい視線で髪をくしゃくしゃと撫でられ、さめない眠気の中でも胸がきゅうっとした。
エレベーターの中でぐしぐしと目を擦っていると、二宮さんが私を覗き込んだ。
「直生、お前近いうちに有休取れよ。このままじゃ体調崩す」
「……はい」
今年は残暑が厳しい。自分でも確かに疲れを感じていたから、素直に返事をした。
それにしても眠い。そして、身体がひどく熱を持っているようだ。
あの日差しの中、男の子と遊ぶのは想像以上に私のエネルギーを奪ったようで。
先に軽くシャワーを浴び、そして二宮さんがシャワーを終えるのを待つ間に、私は眠り込んでしまった。