にのちゃんとの妄想小説です。BLではありません。女性との絡みがあります。苦手な方はご遠慮ください。




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ここは「アートの島」だという。自治体をあげて取り組み、島の中には各国のアーティストの作品が点在している。





古民家かと思えば中にアート空間があったり。





角を曲がると突然オブジェが出てきたり。






「大野さんが好きそうだな」






「そうですね!」






そんな会話をしながら海岸に出ると。






砂浜に巨大な棚のようなオブジェがあった。





そばに立てられた看板をふと見れば。






「「え」」






ふたり声が重なった。






作者、大野智。






ふたり顔を見合わせる。






「これ…登っていいみたいですね」





ちゃんと梯子までついている。








順番に昇り、四角くて少し狭い空間に潜り込めば。






トンネルの中のように前後は遮るものはない。だけど身をかがませなければ入れない狭さ。






「なんか…ここにずっといられそうだ」






目の前には静かに広がる瀬戸内海。










閉塞と開放の共存。






ふたりとも声も出さずにただただ海を見つめていた。






その時。俺の尻のポケットの中で電話が震える音がした。







「はい」





「大倉です。いかがですか、そちらは」






しれっと呼びかけてくる大倉。あのいつもの微笑む顔が目に浮かぶ。






「おかげさまで元気でやってるよ」





「申し訳ありませんでした、隠してて」





「ひとつ『貸し』な」





「承知しました。なんなりと」






ふふっと笑う声。きっとそこまで予想済みなんだろう。大倉は、そういうやつなんだ。