にのちゃんとの妄想小説です。BLではありません。女性との絡みがあります。苦手な方はご遠慮ください。




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「あっ、戻ってきたあ」





「おかえりー」





なかなか炭に火が点かなくて四苦八苦しているとみんなの声が聞こえて、見るとカズと直生ちゃんが手を繋いだままで戻ってきていた。





「カーズー!頼む!火が点かない!」





「はいはい」





オレがカズにヘルプを請うと直生ちゃんはそっと手を離して、そしてカズに軍手をさっと渡す。ああ。いいなあ嫁。





「何使ってんのこれ」





「何って…ホームセンターで買った着火剤だけど」





「ふーん。初めて見た」





興味なさげなカズはきょろきょろと足元を見回す。





「このへんかな」





そう言うと屈んで何かを拾った。





「なにそれ」





「枯れ枝。ねえ、だれかナイフ持ってない?」





「あるよ?こんなちっちゃいのだけど」





相葉くんがキャンプ用なのか、折りたたみのナイフやらハサミやら付いているタイプのアーミーナイフを持ってきた。





それを受け取ったカズは、枯れ枝の中程からナイフをいれて削る。のかと思ったら、削り落とさずに最後のギリギリを残す。





削られた薄い部分はくるりと丸まって。それを数回繰り返して、枯れ枝はタンポポの綿毛のように先端が丸く膨らんだ。





「フェザースティックですか」





松本氏が言う。なにそれ?





「あ、知ってる?じゃ作って。もう手が痛い」





カズは松本氏にナイフと枯れ枝を渡した。





そして、「枯れてる奴がいいんだよな」とぶつぶつ言いながらその場を離れる。





オレは松本氏を見ていたら。





「あれ」「あれっ?」





彼は最後のギリギリを残せずに、すべて削り落としてしまっていた。





……もしかして、意外に不器用?





「なんだよ、それじゃ鉛筆削ってるみたいじゃん」





そこにカズが笑いながら戻ってきた。





「いや、うまくいかなくて」





「ふーん…見かけによらず不器用なんだな」





カズの言葉に一瞬場が凍りそうになった。





でもそれを打ち砕いたのは。





「はははっ!そうなんですよ、物作りは本当にダメなんです」





松本氏の軽やかな笑い声だった。