にのちゃんとの妄想小説です。BLではありません。女性との絡みがあります。苦手な方はご遠慮ください。
************
車を停め、まずはお墓へと言う直生と連れ立って本城家の墓の前に立つ。
墓を構えるにはそこそこの金がいるはずだ。
「お墓は、お祖父さんたちが?」
「はい」
高校卒業までは祖父母の援助があったと言っていた。でも…祖父母からしたら、娘の子供だ、援助を続けても良さそうなものだけど…
「祖父は援助するつもりだったんです」
俺の考えを見透かすように直生が言う。
「でも、母は勘当同然で家を出た身です。私はその娘です。家を出て何十年も経っていきなり無心するなんて私にはできなかった。私は娘として母の責任を負うべきだと思っています。祖父母には自分たちのためにお金を使ってほしかったんです」
そうだろうか?子は親を選べない。なのに、子だからといって親の分の責任を負うべきなんだろうか?
是非はわからない。でも…直生はその生真面目さのまま、肩肘張って、精一杯勉強して働いて、自分の人生と悠介の人生に責任持って生きてきたんだろう。
「社会人になってからは平日には来れないので、月命日に欠かさず参ることはできなくなりましたけど」
花を生けながら直生が呟くように言う。
「今思えば……そんなに無理して来なくても良かったのかもしれない、って思います。何かに取り憑かれたように…来なきゃいけないって思っていたのがなくなって。少し、楽になりました」
直生の母親に対する思いは、かなり複雑そうだった。けれど、家族の大きな問題ないままに育ってきた俺には何も言えなくて。
わかったふりなら誰でも出来る。でもそれが、直生を傷付ける、そう思うから。ただ、聞くしか出来なかった。
************
お参りを終え、本堂へと向かう。
汗ばむほどの陽気の今日、本堂の扉は開け放たれ、
「カズー!」
住職の明るい声が聞こえた。