にのちゃんとの妄想小説です。BLではありません。女性との絡みがあります。苦手な方はご遠慮ください。
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「お墓を構えた当初からうちの事情を知ってくださっていたので、住職様にはとても良くしていただいてました。
月命日に訪ねる度にお茶をご馳走していただいたり。
会長と出会ったのは母が亡くなった年の冬でした。その日、すごく体調が悪かったんですがお参りに出かけて、バス停からお寺に向かう道で倒れたんです」
直生は穏やかな表情で話し続けた。
「あのあたりは車の通りも少ないし、どうやらしばらくの間ずっと道端で倒れてたらしいんです。そこに、住職様を訪ねていらした会長が車で通りかかって私を助けてくださいました。
それが金曜日のことで、その日はそのまま常光寺に泊めていただいて。翌日、バイトに行くという私の代わりに会長がバイトに行ってくれたんです」
「は⁈ じいちゃんが⁈」
「はい」
直生はくすっと笑った。
「その日はたまたま、清掃のバイトだったので良かったんです。当時はファミレスでもバイトしてたので…ファミレスにはさすがに行けなかったと思うんですが」
直生はそう言ったけど、俺はじいちゃんならファミレスだろうがおしゃれなカフェだろうが行ったと思う。
昔から…困っている人がいるとほうっておけない人だったから。
「初めてでした。優しい大人はたくさんいたし、私を細切れの仕事で雇ってくれる人もたくさんいましたけど、代わりに働いてくれる人は、会長が初めてで。
そんなことはその一回きりでしたけど、いつでも会長は体を大事にしなさいと言ってくださって。
いつでも僕が代わりに行ってあげるから、っておっしゃってくれました」