にのちゃんとの妄想小説です。BLではありません。女性との絡みがあります。苦手な方はご遠慮ください。
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「んなとこまで先回りすんな」
あたたかくすべらかな頰は手のひらに吸い付いてくるようだ。
小さな唇がかすかに動いた。
「ん?」
「先回り…してるのは二宮さんです……」
的を射た指摘だ。俺はふふっとついわらってしまった。
そんな俺をちらりと見た直生の瞳はもう軽く潤んでいるようで。
「ごめんな。たしかに…そうかもしれない。でも、お前を秘書にすると決めた時からこのことは考えてた……
たまたままだ若くてここに染まってなかったのが俺にとっては良かったけど、じゃあお前はこのあとどうなるのかって…最初から考えてたよ」
「…………」
直生は今度はぎゅっと目を瞑った。もう聞きたくないと言わんばかりに。
「ごめんな、直生。不安にさせるつもりはなかった。ただ、お前が見つけたこのテーマはお前自身が進めるべきだと思う。それは変わらない。
世の中にはいろんな立場の人間がいる。そのことに若いお前が気付いて、お前が進めていくことに意義がある。
俺がするべき支援はするよ。その線引きは、都度話し合って決めていこう」
「……はい」
直生が欲しい言葉ではないと承知の上で、俺はそんな風に会話を締めくくった。
…ズルい大人で、ごめんな。直生。
返事をしたけど不満げな直生に、ちゅ、と小さくキスをした。
「にっ…二宮さ…!」
完全なる不意打ちだったらしく直生はボンっと赤くなった。
「帰るぞ」
小さな手をぎゅっと握って、俺は立ち上がる。
いつでもどこでも、この手を引っ張ってやりたいという叶わぬ願いを胸に。