にのちゃんとの妄想小説です。BLではありません。女性との絡みがあります。苦手な方はご遠慮ください。
BLも挑戦しています…。抵抗のない方は「colors」をどうぞ。
オムニバス形式で更新は不定期ですが、更新時刻は0時となってます。どうぞお楽しみください。
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「あーー、疲れたっ!」
翔ちゃんがぐーんと伸びをしながら言う。
たいした作業をしていたわけじゃない、でも、じっと座って画面を見つめているのはとても疲れる。
「今日は適当に帰っていいからね、翔ちゃん」
「お、ラッキー。こういう時って年取ったなって思うよなあ」
「まあね。若い頃はぶっ続けで働いたもんね」
「カズはどうすんの?」
「俺?帰れるなら帰りたいけど…今日なんかあったっけ?」
俺は直生に聞く。
「午後の打ち合わせはリスケしました。午前中の会議体が…役員も出るのでそれはなんともならなかったんですが」
「じゃあ昼で帰る」
「かしこまりました」
「直生もな」
「はい」
直生は俺の指示なくとも午後をあけてくれていた。先読みの能力は本当に強い。
俺が煙草を吸いに奥の部屋に入ると、すぐに翔ちゃんが入ってくる。
「カズ。直生ちゃん、寮に帰すの?」
「いや…寮じゃなんかあったときに困る」
「カズんち?」
「まあ…それしかないよな」
翔ちゃんがニヤリと笑う。
「ちゃんと休めよ?もう若くないんだから」
「うるせーよ」
「…明日から調べを始めるから」
今度は真顔の翔ちゃん。
「カズも気をつけてよ。女でも切羽詰まったら怖いから」
「うん」
そして翔ちゃんは帰って行った。
俺は執務室に戻る。直生はキッチンに立っていた。
「何か淹れましょうか」
「コーヒー、ブラックで」
「はい」
ふたり向かい合い、コーヒーを啜る。
「直生」
「はい」
「お前…靴どうしたの?」
「え…昨日申し上げたとおりですが…」
「顔見てりゃわかるんだよ、嘘だって。どうした?」
直生の視線が揺れる。
「ロッカーに置いてあったんですが…ヒールが…」
「折れてた?」
「はい」
「正確に言えば、折られてた、だな?」
俺は念を押す。直生は黙って頷いた。
「心当たりは?」
「わかりません…。ロッカーは無施錠でした。貴重品があるわけでもないので。誰かの恨みをかっているかと言われたら……」
言い淀む直生。そりゃそうだ。元凶は目の前にいるんだから。
「俺の秘書になって以来、周りは敵だらけだと」
「……はい…」
チッと舌打ちが出た。誰に腹を立てているって、俺が俺自身に腹が立つ。
直生はうなだれた。
「翔ちゃんが、執務室をのぞく女を見かけてる。ロッカーの件もあるし、間違いなく女だと思う。でも狙いが直生なのか俺なのかわからない」
直生はうなだれたままだ。
「お前…今日から俺んち来い」
「えっ?」
驚愕の表情の直生。
「寮じゃ何かあってもすぐ行ってやれない」
「そんな…今までだって特に何もなかったですし」
「現にやられてんだろーが」
「でも…」
「いいから!」
つい声が大きくなって直生がビクッと身体を震わせた。
「…ごめん。…とにかく。相手は女だとはいえ何されるかわかんねーから。何か起こってからじゃ遅い」
「……わかりました」