にのちゃんとの妄想小説です。BLではありません。女性との絡みがあります。苦手な方はご遠慮ください。


BLも挑戦しています…。抵抗のない方は「colors」をどうぞ。
オムニバス形式で更新は不定期ですが、更新時刻は0時となってます。どうぞお楽しみください。


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そっと身体を離し腰に回した腕が離れると直生がふらつく。





「おい……大丈夫かよ」




腕を掴む。直生はふう、と大きく息をついた。




「…大丈夫です」




「…………」




灯りを消し施錠して通路を歩き出す。





一歩後ろを歩く直生に俺は聞いた。





「お前……無理してないか?」





「え?……何をですか?」




直生はきょとんとして俺を見る。





「何って……」





まだフロア内だ。さすがに憚られる。





俺が口をつぐむとようやく直生は思い至ったらしく赤くなって俯いた。





役員用のエレベーターに乗り込み、続きを話す。





「あんまり…俺のペースに合わせ過ぎるなよ」




自分でも矛盾してると思う。俺を見ろと言ったのは俺だ。




「…………」





直生は黙り込んでしまった。どうすればいいかわからない、と思わせたか……




俺が口を開こうとした時。静かな声が届く。




「でも…少しずつ無理をしないと、先には進めないですから」





直生は真っ直ぐ俺を見つめる。





返す言葉がなかった。





なんにでも一生懸命で。昨日よりも今日。今日よりも明日。




そうやって真っ直ぐ、少しずつ、でも休みなく、進んできて今の直生がある。




少しの無理は、直生には当たり前のこと。




だったら俺が出来るのは、その「少し」の無理が増えすぎないように、抱えきれないほど大きくならないように見てやることだ。




それには…何より俺自身が自制を効かせなければならない。





また抱き寄せたくなるのを、俺はぎゅっと拳を握って耐えた。





ポーンとエレベーターが一階に着きエントランスを抜け駐車場へと向かう。




「おかえりなさいませ、和也さん、直生さん」




ずいぶん待たされたであろう城島が、いつもの笑顔で待っていた。