にのちゃんとの妄想小説です。BLではありません。女性との絡みがあります。苦手な方はご遠慮ください。
…今…なにが…おきたの?
ぐいぐいと引っ張られて混乱したまま歩き出す。
二宮さんは振り返らない。
でも、手は離さない……
繋がれたその手を見つめながら引かれるがままに歩いていたら突然立ち止まった二宮さんにドンとぶつかった。
チッと小さな舌打ちが聞こえる。
見ると駅前のタクシー乗り場は長蛇の列で。
二宮さんはその場でスマホを取り出すと電話をかけた。
「俺。悪いけど…今から来れる?旧市駅の方」
「申し訳ない」
簡単に会話は終わり、二宮さんはまた私の手を引き来た道を戻る。
信号待ちで止まった時、ようやく二宮さんは私を振り返り心臓がドクンと大きく跳ねる。
二宮さんは口をひらきかけ…つとその口を噤んだ。
「本城」
「はい」
「どっか調子悪い?」
「いえ」
「…………」
どうしてわかるの…?
少し前から頭痛がし始めていた。そしてそれは次第に強くなっていく。
「トイレ?それとも薬?」
「…薬で大丈夫です」
「持ってる?」
「はい」
少し先の自販機に二宮さんは小走りで近寄って行き、水を買って私に渡してくれた。
「すみません……」
「いいから」
ごそごそとカバンにいつも入れている頭痛薬を取り出すと、一旦渡した水のペットボトルを二宮さんがそっと奪う。
PPシートから錠剤を取り出し手の平にのせたところで、キャップを取ったペットボトルをすっと差し出される。
ごくんと飲んだ頭痛薬。早く…効いて…。
「もうすこし歩けるか」
「はい」
今度はゆっくりと歩をすすめてくれる……。
時計台の下まで戻ると、二宮さんは私をベンチに座らせ、自分は立ったまま煙草を取り出した。
「どれくらい飲んだ」
「多分…3…杯?4…か…」
「お前……ああいうの飲んだことあんの?」
「ないです……今日、初めて、です」
はあ、と大きな溜め息をついた二宮さんは、煙草をピンと投げ捨て靴でそれを踏んで消すと、私の方へつかつかと歩いて来た。
怒られる…?思わず肩を竦めてぎゅっと目を見て瞑る。
ぽん、とあの手が頭に優しく置かれた。
「悪かったな」
近付いてくる車のヘッドライトに照らされた二宮さんの表情はひどく苦しげだった。