にのちゃんとの妄想小説です。BLではありません。女性との絡みがあります。苦手な方はご遠慮ください。
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「あそこ行ったらお前……って、おい!」
本城が歩き出す。俺は慌てて追う。
「大丈夫ですから」
本城の横顔は毅然としていた。
俺はさっきの秘書のことを思い出していた。俺の推測が合ってるならば。多少の演技も要るか…。
本城に付き合う必要などどこにもない。しかし、その本城の気持ちは俺の心の底をほんのりと温める。
無理してここに来たのも全部俺のため。味方であれと強要してそれにここまで応えてくれる本城に、俺も応えるのが筋だと思った。
疲れからか歩き方がより危なっかしい。横に並んでいつでも支えられるように後ろで腕をスタンバイさせる。
秘書たちは集い思い思いに談笑したり軽く食事をしたりしていた。
こういう場で何度も会ううちに打ち解けてくるのだろう、仲よさそうに見える。
こちらに気が付きチラチラと見る者、不躾に凝視してくる者、……そろそろ始めるか。
スタンバイさせていた腕を腰に回し引き寄せると、一瞬本城が止まった。
伺うように俺を見上げる本城に、承諾の印に微笑むと、本城は一瞬驚いたように目を見開き、そして恥ずかしそうに微笑んだ。
その素直な表現に思わず惹きつけられた。
一瞬の視線の交差。お互いの意図を間違いなく読み取っていることをお互いに理解するその瞬間。
胸の底の方でちりっと燃える何かがあった。