にのちゃんとの妄想小説です。BLではありません。女性との絡みがあります。苦手な方はご遠慮ください。
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「やる気ないなら帰れ」
二宮さんの言葉は至極当然だと思った。
これは仕事だ。
どんな環境であれ、やるしかないこと。
それなのに。
煌びやかな女の人の群れに好奇の目で見られたこと、そしてそれが二宮さんの評価に直結することを思うと恐怖で足がすくむ。
「やる気ないなら帰れ」
二宮さんが、同じことを繰り返す……。
やる気ないなら帰れ
そのフレーズを頭の中で繰り返し、はっと気付く。
【やる気がないなら】
今、二宮さんにとって重要なのは私が「やる気があるかないか」であって……。
「ここは大事な場だからお前の心情にかまってる暇ねえんだよ」
すべてお見通しなんだとはっきりわかって猛烈に恥ずかしくなる。
「やります」
二宮さんを遮って伝えた言葉を、二宮さんは確かに受け取ってくれたように見えた。
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何人ものエライおじさんたちと挨拶を交わし、名刺を交換する。
私のやることはひとつ、その人の顔と名前を自分の頭のなかに叩き込むこと。
ほとんどのおじさんたちが秘書さんなしで思い思いに話しているのに、ずっと私を引き連れていることを言ってくるおじさんもいた。
「昨日秘書になったばかりなもので勉強がてら」
と二宮さんはスマートにかわす。
中には、「エラく地味な秘書さんだねえ」と私を揶揄う人もいたけど…。
「主役はわたしなので」とにっこり笑う二宮さんの目が全然笑ってなくて怖かった…。
二宮さんは時折飲み物だけ口にするものの、ビュッフェ式の食事には目もくれず、ひたすら挨拶を繰り返した。
その間、あの秘書さんの群れの一角の近くを通ったりもした。
相変わらず、私は好奇の目で見られる。
でも。
上司の二宮さんが私を必要としているならば。
二宮さんだけを見ていよう。そう、心に決めた。