にのちゃんとの妄想小説です。BLではありません。女性との絡みがあります。苦手な方はご遠慮ください。





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結局カズの秘書は見つからないままで4月を迎えた。




会長の計らいで、秘書部で最も優秀だとされる杉本さんが引き抜かれカズの秘書に任命された。




カズのアドバイザー就任の3ヶ月前からオレもこっちの会社を兼務していて、




オレが見ている限りでは彼女は優秀だった。




なにより、モデルのように顔立ちも整ってるし巨乳だし、オレからしたら羨ましい限り。





なのに。カズはやっぱり不満げだ。






「杉本さん、それなりに優秀だと思うけど…何が不満なの?」




屋上へと向かう階段を上りながらオレはカズに聞いた。




「……三歩下がってる秘書は俺は要らない」




「どゆこと?」




「俺はここでは外部の人間で、中の奴らの人となりも知らなけりゃ、本部同士の陰謀も知らない。




だから、俺の一歩先を歩く奴がほしい。当然だろ?」





カズの言うことはわかる。1年なんてあっという間だ。




嫌々就任したアドバイザー、そういう素振りをしてるけど、




やると決めたら全うしたいと思うのがカズだ。




「わかるけどさ…」




ドアをギイっと開けると、太陽の眩しさに目がくらんだ。





「相変わらずここはいいなあ!」




オレは屋上をぐるりと見渡し、ひとつ伸びをした。





「ヤダよ、日焼けするじゃん」




ぶつぶつ言って陰から出てこないカズの手を引っ張る。




「たまには陽に当たらないと!気分転換気分転換!」




「わーかったよ!」




しぶしぶオレに引っ張られて出て来たカズもぐるりと周りを見渡す。




「あ…変わんねーな」




「ね。会長、ここ好きだったもんね」




現役時代から会長は本社屋上の緑化に励んでいた。社員の憩いの場にもなり、会長のお気に入りの場所。




10年以上前、オレがここに新卒で入社、その2年後にカズが入社、それ以来、何度となくここに足を運んだ。





程なくカズが仕事を辞めると言い出して、そのときにオレも声をかけられカズと共に歩き出した。




それ以来、この屋上には来ていなくて。




イライラするカズの気分を変えてやりたくて…ここに連れて来た。




変わった植物があるわけではない。タンポポやシロツメクサのように野の花も多く、



一家庭の庭と野原が融合したようなそんな素朴な場所。




かつてここから飛び降りると騒いだ社員がいたことで、出入り自由だったこの場所に通じる階段への扉は施錠されることになり




今は限られた人間しかここには入れない。





しばらく黙ったままでオレたちはゆっくりと歩いた。