嵐・二宮くんとの妄想小説です。BLではありません。女性との絡みがあります。苦手な方はご遠慮ください。
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SOS……。
翔ちゃんが言った言葉が胸に溜まる。
歩夢は…何に苦しんで、何から逃げようとして、声を失ったのだろう。
【声の出ない私に価値はない】
スマホのディスプレイに浮かび上がる文字が目の中にチラつく。
【価値はない】という言葉の強さ。
声を失うことで価値を失う。つまり、歩夢の声イコール歩夢の価値。
そこまで声に価値が出るのは。
声優。アナウンサー。歌手。思い付くのはそのあたりか。
DVDを見ただけでアレンジまで加えてピアノが弾けるところを考えると、やはり音楽関係か…。
音大の学生?そういえば歩夢の年齢も結局知らないままだ。
収録の合間にいつもどおりゲームをしようとスマホを手に取り、ふと思い付いて戯れに【田中歩夢】と検索してみた。
ずらっと並んだ記事に息を飲む。
『快挙!田中歩夢、日本人初のグランプリ』
『最年少金賞受賞 田中歩夢さん(17)』
『三代目にして最優秀賞 オペラ歌手 田中歩夢さん』
他にもズラリと、国際コンクールでグランプリ、最年少、日本人初、そんな言葉がディスプレイいっぱいに並んだ。
そしてその中に
『田中歩夢さん 最年少ソリスト公演中止』
『公演当日に急遽降板、体調不良か 日本人最年少オペラ歌手の田中歩夢』
『声を失ったハイ・コロラトゥーラ』
……ノ ……ニノ ……ニノ!
ハッと顔を上げると、相葉さんが俺を楽屋入り口から呼んでいた。
「ニーノ!行くよっ!」
「あ、ごめ……」
慌ててスマホをロックしテーブルに置いて相葉さんの元に向かう。
「どしたの?なんかすっげー怖い顔してスマホ睨みつけてたけど。クリアできなかった?」
くふふと笑いながら相葉さんがくしゃくしゃと俺の頭を撫でる。
「…そんなんじゃない」
その瞬間ぐいっと二の腕を掴まれ立ち止まるを得なかった。
「…んだよっもー」
「ニノ?なんかあった?心配事?」
相葉さんが眉間に皺を寄せて俺の顔を覗き込んだ。
「なんにもないよ」
「ほんと?」
「ほんとだってば」
「ほんとにほんと?」
「もーしつこい!」
相葉さんの肩をバシッと叩く。
「いってー!翔ちゃーんニノが殴ったー」
「え?ニノ、パワハラはダメだよ?」
「ちょっと翔ちゃん、俺ニノの部下なの?」
「え?違うの?」
「ひっでー」
けらけら笑う相葉さんと、片方の眉を下げて笑う翔ちゃんの後を、俺も笑いながら歩いた。
相葉さんには見抜かれそうでドキドキした。無理やり聞き出すようなそんなことは絶対にしないけど、
相葉さんは優しいから詳細はわからなくてもすごく心配してくれちゃうから。
余計な心配をかけないように、俺はいつもの俺でいることに専念して収録にのぞんだ。