嵐・二宮くんとの妄想小説です。BLではありません。女性との絡みがあります。苦手な方はご遠慮ください。
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スマホと財布を尻のポケットに突っ込み、玄関でキャップとマスクを引っ掴んだ。
「行くぞ!」
スニーカーを突っ掛けた歩夢の手を取る。
なかなか来ないように感じるエレベーターに乗り込み、一階で降りると優秀なコンシェルジュのおかげでもうタクシーが来ていた。
まず歩夢を押し込み、俺も乗り込みながら運転手に告げた。
「東城病院へお願いします、急いでください!」
俺たちの血相を変えた姿を見て運転手はグンとアクセルを踏んだ。
深夜だから車は多くない。ところどころ車線変更しながら急いでくれている様子がわかり少し安心したところで、俺は歩夢の手を握ったままだったことに気付いた。
歩夢は窓の外を見ていた。
一見落ち着いているように見えたがそうではないことがすぐにわかった。
俺が手を緩めても、歩夢の手は俺の手をぎゅっと強く握ったままで、そしてその手は凍りそうに冷たい。
この間店で俺が歩夢を待っていたとき、確か爺さんが「ばあちゃんのところにはまた行くから大丈夫だ、歩夢のせいじゃない」と言っていたことを思い出す。
いつからかはわからないがおばあさんは入院していたのだろう。
そういえば歩夢の親はどうしているのだろうかと、ふと疑問がわいた。
未成年ではないだろうから親から離れて暮らしているのはなんの不思議もないが歩夢は声が出ないのだ。
それがいつからかはわからないが、たとえセキュリティのしっかりしているマンションだからといって一人暮らしを続けさせるものだろうか?
そもそも歩夢はこの声の治療はしているんだろうか?
窓の外に東城病院が見え、歩夢の手にさらに力が入り俺は余計なことを考えるのをやめた。
今はそれどころじゃない。
「救急の方でいいですか?」
運転手に聞かれ、歩夢の顔を見ると歩夢は首を振った。
「どこ?書いて」
俺は手の平を歩夢に向けると歩夢が指で書いたのは【じかんがい】。
「じかんがい?」
思わず漏らすと、運転手は
「わかりました」とハンドルを左に切った。
タクシーがついたのは、仄暗い『時間外出入口』だった。