嵐・二宮くんとの妄想小説です。BLではありません。女性との絡み有りです。苦手な方はご遠慮ください。
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ブーッブーッと震える電話。
彼女の鞄の中で光り震えている。
手に取ると、そこには
『智』
……一瞬迷ったけど、いきなり彼女と課長が話をするのは危ういと考え、俺は画面をタップした。
「…二宮です」
「……二宮?ちひろは?」
課長の声が硬い。
「まだ寝てます」
「いつもこの時間には起きてるんだけど…あいつ大丈夫だったのか?」
「まあ…あのあとやっぱり調子悪かったです。頭痛薬も飲ませましたけど、なかなか眠れなかったみたいでさっき眠ったところです」
「…………」
眠らせなかったのは俺だけど。
課長の沈黙が続く。
「今は?大丈夫そうか?」
「はい。よく寝てますよ」
「面倒かけたな、二宮。ありがとう」
「いえ、業務命令なんで」
嫌味のひとつもまじえないとやってられない…。
…………
「二宮」
「はい」
「ちひろに…何かした?」
洗いざらい話してしまいたい衝動に駆られる。
押し殺し続けた自分を少しずつ解放していく彼女の心を。
俺の動きの全てに反応する愛おしい軀のことを。
だけど。
俺はこの夫婦の仲を裂きたいわけじゃない。
「何もないです」
「わかった」
「ちひろさん起こしますか?話します?」
「いや、いいわ。寝かせてやって。起きたら今日俺は最終の新幹線で帰るって伝えてくれ」
「わかりました」
「じゃ、頼むな」
「はい」
電話を切ると、ふうっと大きな息が洩れた。知らず知らず力が入っていたらしい。
もし…もし、課長が、何もなかったことを最初から疑わない調子だったら、つまり、彼女への信頼とともに俺への信頼までも揺るぎないものだったら。
匂わすつもりだった。
彼女を野放しにすることへの警告をしたかった。
だけど電話越しの課長のあの口調、あの声には、疑いと危機感が感じられた。
だから、隠した。
それでよかったんだ。大野夫婦に波風立てずに済むんだから。
そう思いながらも、何故か、納得できない自分がいた。
ソファに座りタバコに火を点ける。
彼女は今、すうすうと穏やかな寝息を立てている。
彼女の洩れる吐息、抑えきれない声、跳ねる軀、蠢く内部が頭をよぎる。
課長はなぜ彼女を抱かないのか……またこの疑問が頭をもたげる。
シャワーで温まった体が冷えてきた。
ぎゅっと火を消し、そっと彼女の横に滑り込む。
眠る彼女の身体の温度は高く、その温かさに一気に瞼が落ちた。