息子の誕生後、一年目は夫婦で育休を取得しました。二年目は、妻が育休を延長し、私がフルタイムで仕事。昨年度と今年度は私が育児と家事を担当、妻がフルタイムで仕事しています。

 

 仕事も育児も家事も、どれも一生懸命やれば大変なことですが、相対的に、妻は仕事の方が楽だと感じ、私は家にいるほうが楽だと感じています。その理由は、妻はとても外向的な人で、毎日いろいろな人と話すのが大好き。コロナ下で行動が制限された時期とも重なり、息子と二人だけの日中をしんどく感じることもあったようです。

 

 一方で、私は内向的な人間で、職場のオフィス環境が常にストレスでした。内向的な人って、人と関わるのが嫌いなわけではないのですが、一定のパーソナルスペースや一人の時間がエネルギイーを充電するために必要なんですね。また、毎日、100人以上の生徒を相手にするより、1人の息子を相手にするほうが気持ちは楽です。

 

 男性が仕事、女性が育児という性別で役割を分担する時代は終わりました。それが表向きは常識になっていても、現実では、男女平等、女性の社会進出、男性の育児参加、そして本当の意味での個人の選択の自由と尊重という新しいスタンダードにアップデートされてない人たちがあまりにも多い。

 

 例えば、高校教員時代、進路希望調査に専業主婦と書いた女子生徒がいました。本人がそれを希望するなら、それで良いのですが、職員室で既婚女性教員が群がってその希望を批判していました。問題なのは、社会がその選択を押し付けることであって、個人の選択であれば専業主婦・主夫という仕事は尊重されるべきです。

 

 共働きの家庭は保育という仕事を保育園に委託しているわけで、保育料を払い、そこに補助金も投入されています。そして保育士さんはお給料をもらっている。その同じ仕事を、専業主婦・主夫は委託しないで自分でやっているのです。しかも、保育園は保育が中心だけれど、専業主婦・主夫は保育だけでなく教育という使命を第一に担っている。

 

 教育や愛情は質というのはきれいごと。どれだけたくさん子どもと一緒に時間を過ごせるか。どれだけたくさん子どもの話を聞けるか。どれだけたくさん子どもを抱きしめられるか。そのために夫婦の役割分担は確かに効率が良い。それによって子どものための時間、家族で過ごす時間が生み出されるから。性別で分業するのではなく、外向的な人が仕事、内向的な人が育児、夫婦でそういう分業があっても良いのではないのでしょうか?

 

補足:当初は共働き前提で家族計画を立てていたので、現在私のお給料分の世帯収入が減っています。私たちはそのお金で息子との時間を買っている、そういう見方もできると思います。二度と戻ってこないかけがいのない時間、買える時に買っておきたいというのが私たちの考えです。