113系運転開始から60年その16 | 鉄道とバスのブログ

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JR東日本の改造車編集

国鉄から大量に継承したが、新形式の投入に伴い現在は全車両が定期運用を退いている。

AU712形による冷房改造車編集

国鉄時代、非冷房車は新造車と同じAU75系冷房装置によって冷房改造されていたが、非冷房車は冷房搭載を前提とした設計ではなかったため搭載には構体の補強および電源用三相交流引き通し増設の工事が伴い、多額の費用と時間を要していた。113系では幕張電車区に所属していた房総地区の車両には大量の非冷房車が残っており、対応が急がれた。1000'番台冷房準備車はAU75による冷房改造を実施したが、初期車は1988年以降、屋根上に複数の冷房装置を搭載し、重量を分散することで補強を不要とする集約分散式冷房装置を使用しての冷房改造に移行した。


最初に施行された3両(クハ111-1007・モハ113/112-1014)は、AU75形冷房車との混結となるため冷房電源はモハ112形のMG交換による容量増強で対応していたが、その他の車両は編成単位で改造が行われたため、工期・費用を削減するために屋上別取付のSC24形補助電源装置 (SIV) も同時に取付けたタイプで登場した。多くの車両は車両更新工事と同時に行われたが、一部の車両は車両更新工事または特別保全工事施行後に冷房改造が行われた。

1992年に対象車両の改造が完了したが、これらの車両は車齢が高い上にAU712形の冷却能力が低いのが欠点であり、特別保全工事車は1996年以降E217系の投入により早期に廃車となった。その他の車両も2004年以降国府津区にE231系が投入されたことにより捻出された状態の良い113系で置き換えられ、2006年中に全車廃車となった。


オールロングシート車編集

1989年から1992年にかけて、混雑の激しい東海道本線と横須賀線・総武線快速の一部車両において、クハ・サハ111形のトイレ対向部以外の座席をすべて撤去し、ロングシートに交換された。これにより床面積が大幅に増加し、輸送力が向上した。新設された座席は211系や415系のロングシート車に準じたバケット構造とされ、サービス維持と着席定員低下防止が図られた。改造時に車両更新を併施した車両も存在したが、シートピッチ拡大車は改造の対象からは除外された。

両線で対象とする号車が異なり、東海道本線の田町電車区(のちの田町車両センター、現在の東京総合車両センター田町センター)では11両編成中の普通車9両(7編成で計63両)が、横須賀・総武快速線の大船電車区(現在の鎌倉車両センター)では11両編成中のグリーン車前後各2両の4両(11編成で計44両)が改造された。なお、田町所属編成はのちに国府津電車区(現在の国府津車両センター)へ転属している。

E217系の増備により、大船電車区所属車のうち状態の良い車両更新車は国府津電車区に転じたほか、モハ113/112-1125、-1127は小山電車区に転属し、E231系投入まで使用されその後廃車となった。国府津電車区でも廃車や編成替えによって徐々にロングシート統一編成が崩れていったが、追加改造はなされなかった。これらは他線転用の対象にもならず、本系列が東海道本線から撤退した2006年に消滅した。


その17へつづく