『さよならくちびる』舞台挨拶 | su(澄野一樹/sumikaz)のブログ

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主に上野樹里さんやBABYMETAL、さくら学院について。基本的にネタバレ。記憶違いがあるかも。(suというHNは2006年春から使っています)

6月5日の『さよならくちびる』舞台挨拶に行ってきた。
登壇者は塩田明彦監督、新谷ゆづみ、日髙麻鈴。


(上映後に機材セッティングと調整があり、司会に促されて3人が入場)


監督
本日はお日柄も良く。蒼井優さんの結婚も……。これからの日本映画を背負って立つであろう若い女優ふたりと一緒にここに立てて、光栄です。

新谷
由希を演じました新谷ゆづみです。始めましての方もいらっしゃると思いますが、よろしくお願いします。

日髙
麻希を演じました日髙麻鈴です。初めましての方と、お久しぶりの方がいらっしゃいますが、よろしくお願いします。

司会
出演が決まったときの気持は?

新谷
オーディションも何もなくて、マネージャーさんから「映画の出演が決まりそうです」とメールが来て、どうやってこの出演が決まったのか知らなくて、どういう作品なのか、どういう監督さんなのかも知らなくて、何も知らずに決まったというのが、印象に残っています。

日髙
最初に妄想しました。映像に自分が写るのを想像して、ワクワクな気持と不安があって……最初、二人組とは聞いていたけど、相手役が誰か知らなくて……でも相手かゆづみと知って、安心に変わって、それからは撮影が楽しみでした。

新谷
映画の出演が決まったことを、さくら学院のみんなに報告するんだな、と思っていたんですけど、相手が麻鈴と知って、「あっ、ふたりで報告するんだ」と思って。最初はひとりで「映画決まったんだよ~」って言おうとしてたんですけど、ふたりで仲良く発表しました。

監督
どういう場所で発表したんですか?

新谷
レッスン場だったと思います。

日髙
学院祭のレッスンだったよね?

新谷
そうかな? 大きなライブがあって、予定の話をしていて、私達が抜けてる日があって、「何してたの?」みたいな話になって、「実は……」みたいな感じで話しました。

司会
メンバーの反応は?

新谷
喜んでくれました。「ふたりで出るんだ!」って。

日髙
目をまん丸にしてたよね。

新谷
「なんで、この二人なんだろう」って。

司会
監督がおふたりの起用を決めた理由は?

監督
いろんな噂が既にネット上に……あながち間違ってないんですが。BABYMETALの中元すず香さんに心惹かれまして。さくら学院出身と知って、さくら学院をチェックしたわけです。色々大人買いもしまして(場内拍手)。「観てない」とふたりには言ってたんですけど、学院祭(2017)のDVDを観てはいたんです。キャスティングする頃にDVDが発売になって。ライブは見に行けなかったので。……で、このふたりに。

司会
このふたりに、というのは何が。

監督
演技力ですね。僕は、若い人達が芝居ができるかどうかは、会話してるだけで分かるんですよ。ふたりの様子を見ていて、この人達は演技のセンスがあるな、と思ったんです。で、ネット上では女子高生となってるけど、設定としては中学生なんです。高校生はありきたりなので、中学生に下げたんです。それで、だったら、このふたりでいいな、と。

司会
そうやって才能を見出されたおふたりですが、映画の現場でビックリしたことは。

日高
アットホームな現場でした。

新谷
あったかい現場でした。ビックリしたことではないですけど。

監督
でも日髙さんにビックリしたでしょ。

新谷
そうですね。麻鈴が急にアドリブを入れてきたので、それが一番ビックリしました。

司会
どんなシーンですか。

新谷
麻鈴が歌い出すシーン……インタビューのシーンなんですけど、もともとは台本に歌はなくて、麻鈴が急に歌い始めたので。それにはビックリしました。

司会
アドリブとは思えない、強烈なインパクトのシーンでしたね。どういう気持で歌い始めたのでしょうか。

日髙
私、日常的に歌うことが大好きで。楽しい気持になったり、寂しい気持になったりしたときに、ふと歌い出す癖があるみたいで。それで撮影のときに気持が乗って、ふっと出たのが歌だった、という感じで。自分の中では無意識なんですけど……

(そういえば、日髙はスタンディング・ライブの目安箱で八木に「突然歌い出すのは、ビックリするからやめて」と言われていたそうな。もともと「ミュージカルな人生」を生きているわけね。それと、新谷も以前FRESHの目安箱で八木に「突然エア二重跳びするのはやめて」と言われていた)

日髙
……使っていただいて、ありがとうございます、という感じです。

監督
あのときは、日髙さんが突然歌い出して、新谷さんが動揺も見せずに受け止めたのが本当に素晴らしかった。

新谷
ありがとうございます。

監督
日髙さんが攻めてるけど、攻めるだけでは(芝居の)ケミストリーは成立しないわけで。ものすごい抱擁力のある受け身してくれてるじゃないですか。だからセットで、素晴らしいシーンになったと思うんですけど。だけど、心の中では「日髙、このやろう」と(場内爆笑)。

新谷
内心は、ビックリしました。

司会
リハのときは歌わなかった?

新谷
歌わなかったです。

司会
じゃあ、リハではインタビューを受けてるというリハーサルをして、で、本番となったら急に……

新谷
そうですね。

司会
すっげえ。リハでも歌ったのかと思ってました。

監督
いやあ、ビックリしましたよ、僕も。何が起こったんだろう、って。

司会
初出演の映画の現場でやってのける根性……

監督
こりゃ、本物だな、と。こいつら大物だな、と思いました。
本当にありがたかったですよ。
どういう設定だったかというと、ハルレオのファンの女の子たちがいて、
ハルレオの歌が彼女たちにとっては本当に特別なもので、
彼女たちの心の支えになっていて。
で、想いがありすぎるが故に、「どこが好きなの?」って訊かれても、
答えられなくて言葉にならなくて泣き出しちゃう、っていう設定だったんです。
「歌え」とは書いてないんです。
でも、泣くよりいいわけですよ。それがあふれ出た、というのが。
こんなにも好きなんだ、というのが。
しかも、めちゃくちゃ(歌が)上手い。
本当に素晴らしいシーンをありがとうございます。

司会
おふたりは役作りはどのように? いっしょに役作りしたんですか?

新谷
ふたりで、カフェだっけ?

日髙
そう。

新谷
ふたりとも映画が初めてだったので、どういうふうに進んでいくのかも分からなくて。
とりあえず、何かあったときのために、勝手に家族構成とか裏設定を……

監督
内容を聞きたいですね。

日髙
ふたりとも家庭の事情は厳しくて……

監督
兄弟はいたんですか?

新谷
私は一人っ子でした。

日髙
私も一人っ子でした。

監督
じゃあ、孤独な感じで。

新谷
そうです。

日髙
それで、ハルレオのライブに行ったときに、同い年ぐらいの人を見つけて、少しずつ仲良くなったと……。勝手にですけど。

司会
いえいえ、素晴らしいと思います。そういう裏事情もスクリーンには映っているのでは。

監督
やっぱり、大事ですよね。

司会
音楽に救われた、ということには共感する部分がありますか?

新谷
歌にはいつも助けられてる感じはありますね。ふたりとも音楽が好きなので。

監督
どんな歌に救われてるのか、聞きたいですね。

新谷
私は、尾崎豊さんが大好きです。

司会
渋いところ来ましたね。

監督
渋いですよね。

司会
ご家族の影響で?

新谷
それもあるんですけと、初めて聴いたのは自分からで。
自分で見つけて、好きになりました。

日髙
私はSuper flyさんの曲に救われています。
小さい頃は、英語の曲ばかり聴いていたんですよ。
初めての日本語の曲がSuper flyさんの曲で。
そこから、Super flyさんの刺さる歌詞に救われたことが沢山あります。

監督
僕はですね……

司会
聞きましょう。

監督
僕はNUMBER GIRLが好きです。聴いたことあります?

新谷・日髙
ないです。

監督
ないですよね。世代が違うんです。

司会
おふたりは、函館のシーンも印象的ですけど、
どうでした? 函館のロケーション。

新谷
すごく綺麗でした。
ふたりとも初めて北海道に行ったので、すごく楽しかったです。

司会
夜のシーンが多くて、大変だったんですよね。

監督
多かったわけではないけど、2日かかりました。
なんで2日かかったかというと、函館の日没が7時20分ぐらい、空の白みがとれるのが40分ぐらいなんです。そうすると、空が入っているシーンは7時40分から撮り始めて、8時には終わらないといけないんです。20分しかないので、頑張っても2カットしか撮れないんです。

日髙
私達は(当時中学生なので法律上)8時までに終わらないといけなくて。

新谷
シンデレラ・タイムなんです。

監督
だから、悲しく泣いてるシーンなんですけど、ものすごい勢いで撮ってる。

新谷
「いくよ! いくよ!」って、やってましたね。

監督
「泣け!」って。

新谷
「泣けなくてもいいから、とりあえず撮ろう」って。

司会
初々しいおふたりならではのエピソードですね。
何か美味しいものを食べた思い出はありますか?

新谷
海鮮丼を食べました。

日髙
食べた、食べた。

新谷
あと、ハンバーガー。

監督
ラッキーピエロ。

新谷
ラッキーピエロ! そうです。

日髙
あと、五稜郭も。

新谷
五稜郭、行きました。

司会
ふたりいっしょに行ったんですか?

新谷
行きました。楽しかったです。

監督
ちゃんと、歴史の勉強も。

新谷・日髙
しました。

監督
どういう所なんですか、五稜郭は?

新谷
五稜郭はですねー……

司会
(監督にツッコんで)後で調べてもらっていいですか。
おふたりは4月から高校生になられましたけど、今はどんな高校生活を送っていますか。

新谷
私、不安だったんですよ。友達できるかなって。
無事、できました。(拍手)(3月にFRESHでも不安と言っていたけど、よかった!)
すごい今、高校生活楽しいです。

司会
部活は入っていないんですか、おふたりは。

日髙
私は入ってないです。

新谷
私も入ってないです。

司会
日髙さんはどうですか、高校生活は?

日髙
新しい空間に慣れないこともあったんですけど、お友達ができて、共通の趣味を語り合える人ができて、本当に楽しいです。

司会
映画が公開されて、お友達からメールが来たりはしましたか?

新谷
来ました。私は和歌山出身なんですけど、学校の友達から「映画出るの? 絶対、観に行くよ!」ってメールがいっぱい来ました。あと、おばあちゃんがすごく喜んでくれて、「おじいちゃんと観に行ったよ」ってお手紙が届きました。

司会
感想は何か言ってましたか?

新谷
「ゆづみちゃん、頑張ってるね」って、言ってくれて。

司会
日髙さんは、いかがですか?

日髙
私は、学校の廊下ですれ違いざまに「映画出てたよね」って友達に言われて。ものすごく感想を言ってくれて。「歌ってるシーンは心に響いたよ」って。すごく嬉しかったです。

司会
主演の小松さん、門脇さんとは現場で交流はあったんですか?

新谷
メイクする部屋がいっしょで、朝ご飯が届いてて、おにぎりを楽しそうに選ぶ小松菜奈さんを見れました。

監督
めちゃくちゃおいしいんだよ。

新谷
めちゃくちゃおいしいおにぎりがあって。

日髙
なんだっけ、おかかベーコン?

新谷
おかかベーコン! 小松さんが「どれにしよーかなー」って言ってるのが可愛かったです。

日髙
最後のライブシーンの撮影のときにカットフルーツの差し入れが届いていて、小松菜奈さん、門脇麦さん、成田凌さんがそれを食べていたんですけど、そのときに小松菜奈さんが私達の方を向いて「食べますか?」と言ってくれて。一瞬ドキッとしたんですけど、それが印象に残っています。

司会
ふたりとも食べることだったんですね。
おふたりはさくら学院を卒業されて、今後はどのように活動していくのでしょうか。

新谷
私は女優さんになりたいと思っているので、すてきな女優さんになれるように頑張っていきたいと思います。

司会
この映画で、自分のどんな面を見てもらいたいですか。

新谷
初めての映画なので、初めてならではの未熟な部分が写っていると思うので、これからいろんな映画に出演して、成長した自分をお届けできたら、と思います。

司会
日髙さんは、いかがですか。

日髙
私は歌を歌ったり、踊ったり、演技をすることが好きなので、これからミュージカル女優として活動していきたいと思ってます。映画では歌ってるシーンがありますけど、そのシーンをリラックスして見ていただければ、と思います。初めての映画出演だったので、温かい目で見守っていただけたら嬉しいです。

司会
それでは、最後に監督から会場のお客様に一言挨拶をお願いします。

監督
一言でなくてもいいですか?
このふたりが既に演技力があるっていうのは、例えば、小松さん演じるレオが出てきてサインをするところで、ふたりが外で待ってますよね。出てくるのが分かっている訳じゃないけど、チケット持ってないけど音漏れを聴こうと思って朝から待ってるわけです。僕は試しに、「君たちはただ座っているんじゃなくて、もう30分も1時間も前からそこに座っている感じでお願いします」って言ったんです。それしか言わなかったんです。そうしたら、ふたりが、鞄の持ち方とか、スマホの構え方とか、ふたりの距離感とか、全部自分たちで探って、30分とか1時間ぐらいあそこに座ってたなって感じで座ってるのを見て、ああやっぱり俺の目は間違っていなかったんだな、と。
まあ、それまでに他のシーンも撮ってましたけど、演技のセンスっていうのは、そういうところに出るんですよ。台詞とかだけじゃなくて。だから基本的なことは出来てるんで、今後は、自分の好きなことは何でもやる、っていうことが大事です。僕は俳優じゃないけど、先輩としては、「やること全てが糧になる」。芸能の素晴らしいところは、人生の問題としては最低の、悲しいこと、苦しいこと、大変なことも、全て糧になってプラスに転換できる。それが、芸能が世の中の人にとっての光を灯す役割を持つ。だから、何も恐れることはない。好きなことは何でもやる。……あっ、皆さんへの言葉でしたっけ?

司会
そうです。

監督
そりゃもういいだろ。


(フォトセッションの後、退場)


文中ではいちいち書いていないが、全体に笑いの絶えない舞台挨拶だった。

 

写真:ザ・テレビジョン