ブラック・クロウズの新譜、『Happiness Bastards』が、リリースされたのが3月15日で、それから、1ヶ月ぐらい聴きつづけてきたが、今になってやっと、このアルバムの真価がわかった気がする。
ブラック・クロウズの今までの最高傑作といってもいいぐらいの素晴らしいアルバムだ。これは、少し言い過ぎかもしれないが、今、50代の半ばになった自分が今、聴いていて、一番いいと思えるブラック・クロウズのアルバムだということでは、間違いない。
よくぞ、ここまで素晴らしいアルバムを作ったものだ、という驚嘆の気持ちだ。60歳近くになって、ここまで素晴らしいアルバムを作ったバンドが今までいただろうか。信じられないほどの、本当に素晴らしいアルバムだ。
一つ一つの曲も素晴らしいし、クリスのボーカル、リッチのギター、アルバム全体の曲の構成、何もかもが素晴らしい。アルバム全体として、無駄な曲が一曲もなく、全体としての一つの完成したアルバムを構成している。完璧と言ってもいいアルバムだと思う。
最初、このアルバムを聴いたとき、なんだかぱっとしない印象だった。冒頭のBesides Mannersにしても、シングルの、Wanting and Waitingにしても、まあ、こんなもんかという印象だった。
それが、この1ヶ月、このアルバムを聴き続けていると、それぞれの曲の良さがじわじわと伝わってきた。まさに、さすがはブラック・クロウズという感じだ。
ブラック・クロウズの超名盤のデビューアルバムの「Shake Your Money Maker」の時もそうだった。一番最初に聴いたときは、それほどいいとは思わないのだが、それを聴きつづけていると、とんでもないアルバムだと気づかされるのだ。
それにしても、ブラック・クロウズは不思議なバンドだ。自分が危機的な状況にいる時に、まさに最高のアルバムを出してくれて、自分を救ってくれるのだ。今回の、この新譜もまさに最高のタイミングで、自分に届けてくれた。
どれだけ、このアルバムの曲が、今の自分を救ってくれていることか……。
それにしても、いつも思うことだが、どうして、クリスはこんなにもいい歌を歌えるんだろう。
圧倒的な、歌の暖かさ。歌の力強さ。まさに、聴いている自分に生きる力、生きる元気を、届け、与えてくれるのだ。
クリスは、天才といったカテゴリーではなく、自分にとってはまさに神のような存在だ。
アルバムの最後の曲、「Kindred Friend」を聴いて、どれだけ涙が出てきたことか。たぶん、コップ2杯ぶんぐらい、涙を流した。本当にいい曲だ。
どうして、こんなにもいい歌が歌えるんだろう。クリス、本当にありがとう。