暑い暑いも「夏」のうち
♪「カラ~スなぜなくの?」『カラスの勝手でしょ~』♬
と言われてしまうと、もうそれで全ては終わり、この会話。
ちょとばかりニュアンスは違うものの、私の会話には本来そういった冷たい処がある。
だが、その事を知っているだけに、それを会話中は包み隠して、仮面を着けて普段は生きている。
仕事柄、その必要のあった此れまでだったし。
昔の昔のその昔の20代の学生時代、バイト先の或る人生の先輩から、真夏に「暑いねえ~~」と言われたので『夏ですからね!』と返してしまい、場が静まり返った事があった。
確かに一瞬で場が冷えたので、冷却効果は有った様には思う。
どちらも時節柄当然の事を言っているし、特にその方は、所謂時候の挨拶、決め事の様な決め台詞であって、大意や深い思いは無かったはず。
が、それに対して、そんな返しはイケない!
でも、心の中で何時もそう考えているので、このオヤジ、何て当たり前なつまらない事を言うんだ!って思いが有ったので、若さ故つい本音がポロリと出てしまった。
さぞや、そのオジサンからみたら、小生意気で無礼なガキだったに違いない。
人と会った時の開口一番、相手に対しての心遣い、ある意味思いやりの決め事である。
それを無視して、ある意味恩を仇で返された感を味わられたはずだ。スミマセン。
その日以来、もうこんな事はやめよう!と、心に誓った。
人に「どう思われる」なあんて、どうでもイイ。
そういった、人に合わせる、人の顔色を窺う様な生き方は性に合わない。
けど、その時以来、その方の気持ちをシルエットさせるのは控えようとは学んだ。
その方は、気遣い感もあり、そう言った挨拶をされるわけだから。
だから、「暑いねエ~」とか言われたら、『ええッ』とか『そうですね』とかの、反応はする様にはしてはいる。ハイ。
でも、独り言でも街中で、足を止め太陽を仰ぎ見ながら「アチイ~~」とか言ってる人。
冷房の効いた店なんかから、外へ出て来て開口一番「ア~~ツイ」とか、通りに向かい大きな声をあげる人。
これは、何だ?
って、お前は言わないのか?と、言われそうだが、そういう自分を冷静に観察してみると、あまり“暑い”とか“寒い”とか、どうみても言わないタイプだと言う事に、気づく。
そうなんだヨ、言わないタイプなんだ!理由は判らんが、、、昔からで、それがまた自然体。
それと、「ハアア~~」とか、ため息をつく人。
昔から、ため息一つつくと、幸せが一つ逃げる、とか言われている。
何か、そのため息と「暑いね~」は、どこか近似形的な匂いがする。
その方にとっては、体の熱を逃がす為に汗が出るように、「暑いね~」を発すると、心のサーモスタット的行為になるのかもしれない、とも思える。
思えるが、暑いねと言われると、それまで暑い気分で無かった此方が、急に暑い気分を伝染させられたような、又、目の前でため息一つつかれると、此方まで幸せが逃げて行くような、そんな心持にもなる。
断然少数派でしょうが、こんな、私の様なタイプの人間もいるのですよ、世の中には。
確かに、40℃近くの異常な気温。
暑いですよ、ハイ。
でも、暑い暑いも夏のうち。
夏だから味わえるのが暑さ。
人生の味わい。
今年は、もしかしたら夏は越せないのかも、、、と言うボンヤリとした不安の中からのスタートだった。
それだけにXデーを過ぎた今は、猛暑だろうが酷暑だろうが、此の暑さを味わえることが、この上もなく嬉しく、猛暑酷暑が夏を味わえるご馳走にさえ思えてしまう。
夏よ有難う~~!!!
